闇口の世界理論
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「2年エース君モテるんだよ。また敵が増えたね」
「でも無理に付き合うとか出来ないよ」
「だろうねー夜魅は器用じゃないし」
「そういう問題じゃないよ!」
大声で笑う仄花を軽く叩くと涙目で「ごめんごめん」と笑う。
他愛もない日常も、この笑いも仄花の隣にしかないと思うと寂しいものがある。
もっと、友達が欲しい。でもこれを望んで何度も傷つくことになったから一歩が踏み込めない。
「…これで楽しいよ」
そう言っていつも自分の心を誤魔化す。
「…夜魅!仄花様がミスドで奢ってあげる!」
「え?どうしたのいきなり」
「だーって夜魅暗いからさ。甘いもの食べて元気だしてよ!」
仄花は優しい。
雑で荒っぽいところも多いけど、私のことをよく見てくれる。
「仄花ありがとう!大好き!」
「あははー奢りで大好きとかうざー」
私たちは笑いながらミスドへ向かった。
後ろで、ずっと見ていた人がいるのに気付きもしないで…
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