闇口の世界理論
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「…ハァ 幸、むらく…早いっ」
「あ、ごめん」
呼吸がまったく乱れていない幸村くんに対しもうバテバテの私。ようやく歩調を緩めてくれた。
文化部の私とテニス部男子の体力差を考えて欲しかったよ
「大丈夫?もう着くから」
どこに?と周りを見ると、正面にはファンクラブに囲まれたテニスコート。
ファンが気付くと手を繋いでる(と言うより引っ張られてる)私を見てどよめきながら道を作った。
まずい、ファンクラブに見られた…
ただでさえ女子内で風あたり悪いってのに!
「ああああ!夜魅先輩!?」
フェンスの中に入った途端目を輝かせた天パの子が来た。
「夜魅先輩っすよね!うわぁ初めまして!」
「は、初めまして?」
「俺2年の切原赤也っていいます。よろしくっす!」
「よろしく…切原くん」
人懐っこそうな可愛い後輩だなーと見てると切原君の背後には柳くん。
どこか申し訳なさそうにこっちを見ていた。
私も苦笑しつつ、幸村くんに部室に引っ張られていった。
end