闇口の世界理論

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「夜魅さん、時間貰えるかな?」


カバンがドサリと床に落ちる。

誰が後ろから声をかけてきたって?振り向かなくてもわかるよ……テニス部部長幸村精市くんだ。
昨日柳くんに“私なりに気をつける”と言ったばかりなのに



「夜魅さん?」

「えっと…ごめん用事があるの」

「用事って何?手伝おうか」


振り向くとニコニコと綺麗な微笑みを向けられていて思わず顔が引きつった。
まずい、この調子だと魔王に捕まる。
飲み込まれそうなオーラを感じて冷や汗が流れてきた。


「私と!私とマックに行くんだよね!」

「仄花…!」


突然の親友の助けに感動。
マネに強要されていることを仄花も知っていて助けてあげると言ってくれた。
でも、幸村くんの笑みは変わらない。



「マックかいいね。俺も行きたい」

「いや、女子トークに混ざらないでよ」

「なら、早く終わらすから夜魅さん借りるね」



幸村くんは素早く私のカバンと手を掴むと強引に引っ張る。
廊下に出るとさらに走り出し、男女差のあるため仄花は申し訳なさそうに諦めた。

文化部の私はどこまで走らされるの?



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