A.I.の少女兵器2

□44話
2ページ/2ページ




どれくらい俺はそこに座り込んでいただろう?
リボーンに静かに声をかけられ、ようやく立ち上がり家に戻る。


部屋の中は変わらない。
俺が洗った食器、鈴音の本、飾られた花、薬を飲んだ時の水、布団に残る血。
鈴音の面影が、記憶がちらつく。

でもいない。俺が連れて行かせたんだ!!



「―――鈴音、鈴音!」


干してあった洋服を引っ掴み抱き締める。こうしてないとどうにかなりそうだ。

ごめんなさい。ごめん。



「俺は、生きてほしかったんだ…!」


知ってるかな鈴音は。
俺は2人で生きていたかったんだよ。誰だって、人は、死にたくなんかないんだと言うことを。



「―――?」


ふと、洋服の隙間に固いものを発見した。日記だ。

それは俺達が再会した時から、最期までの日記だった。
2人が生きていきた証だった。

その中に俺たちは確かに生きていた。








強く 強く。必死に小さな権利を握りしめて。

笑って 泣いて 不安に押しつぶされて 罪にもがき 懺悔して

せめてこれだけは許してほしいと叫びながら


俺たちは恋をして、生きていた。

それだけを許された小さな生命が 強く 強く




end
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ