闇口の世界理論
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「――-て、感じかな。それほど大きい動きはないよ」
「そうか…では俺からは気をつけろとしか言えないな」
「善処します」
茜色に染まった図書館で柳くんと二人きり。
今日はミーティングだけだったから今の状況を報告させてもらった。
あ、ちなみにここは政治経済の分野でかなり奥の方だからほとんど人はやって来ない。好都合!
「熱烈ラブレターの数は減ったけどな…」
「なんだ?」
「いや、怖モテお姉さま達は私の見張り飽きないと思って」
「…大丈夫なのか?」
「まぁ仄花と行動してれば」
怖モテお姉さま達のせいで読書することもままならない。
ホント仄花には世話かけっぱなしだよな…今度スイーツでも奢ってあげよう。
小さく溜め息を吐くと柳くんが机に身を乗り出し距離を縮める。
「誰かと付き合えば解決するものだが」
「……例えば?」
「精市や俺とだ」
「……そこは自分が最初じゃないの?」
「精市は立ち回りが上手い。…俺も下手ではないがな」
さらに、距離が縮まる。
開いていたノートに乗ってるせいでくしゃりと折れたのが視界に入ったがいかんせん柳くんから目を離せる訳がない。
…男ながらキレーな顔立ちしてるなぁ。
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