闇口の世界理論

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それはファーストキスが奪われそうになった次の日。
私としても予想外の事が起きていた。

「夜魅…」

「……まあ、何というかね…」

昇降口で微動だしない私と仄花の視線の先には掲示板に貼られた紙が。
そこには私と柳くんがキスをしていたという記事が書かれていた。
いや、だからファーストキスは守られたって。あれは写真の角度が悪いだけ。
だけど私から見てもキスをしてるようにしか見えないあの写真は皆を騒がせるのに十分だった。


「も〜〜〜!だから気をつけろと何度も…」

「ごめんごめん」

「ちゃんと反省しろこの悪女!」

男をたぶらかし惑わせる悪い女…的を射すぎてる言葉だね。
しゃがみ込み唸っている仄花を置いて靴箱を開けると 「お?」 予想外の状態だった。
仄花も私の反応に気がついたようで靴箱を覗くと目を見開き再びしゃがみ込んでしまった。うーむ


「これは…呼び出しだね」

「とうとう来ちゃったか…!!」

そう、いつもは熱烈なラブレターかゴミが入っているはずの靴箱は綺麗にされていて、代わりに和紙を使われた折り目正しい手紙が一通だけあった。
宛名は『テニス部ファンクラブ一同より』
中身をざっと確認すると放課後に屋上で話があるから来て欲しいということだった。
言葉使いからして大分友好的な感じはする。


「夜魅…行くの?」

「行くしかないでしょうね」

「わ、私も「1人で大丈夫」…でも…!」

付いてこようとする仄花を友好的そうだから大丈夫と説得する。
私が折れることは絶対にないから


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