夢 短編
□私のご主人様
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「そう言ってんじゃねーよ!お前マジで馬鹿だな!」
「そうですね。アグリア様に比べたら私の知識など無いに等しいですね」
笑顔で罵声を流すのは得意になった。
どうどん口が悪くなるけど、それはそれで可愛く見える。
辛い過去をもつあまり、怒りや嘲笑でしか感情を表現できなくなっている。
それは悲しいことだが、
それで心が少しでもスッキリするなら
いくらでも私を罵ってくれればいい。
「くそっ!本気でお前を殴りたくなる」
「別に殴ってくださって結構ですよ」
アグリア様の心が徐々に蔑んでいった。
その様をずっと見ていた。
しかしアグリア様を笑顔にする方法が
私には見つけられなかった。
そんな自分は殴られてもいい。
「うぜー!」
でも暴力を振るわれたことはない。
罵声は毎日浴びているけど、それ以上のことはされていないし、
解雇もされていないから嫌われてはいないみたい。
それだけで嬉しいと想う気持ちもある。