夢 短編
□初雪
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「あ、雪だ」
横を歩く彼女がふと立ち止まった。
それにつられて歩みをとめて空を見上げる。
「ほんとだね」
上に向けた彼女の掌の中に小さな粉雪が落ちる。
「初雪だよね?」
「あっ。そうだよね!」
初雪という言葉に反応して彼女は優しく微笑んだよ。
「雪好きなの?」
「好きだよっ」
彼女は両手を広げてくるりとまわってみせた。
「寒いのもへっちゃら!」
「そっか」
元気だねと言いながら彼女の頭に手を置いた。
「……これは子ども扱いっすか?」
「あぁ、ごめん。そんなつもりはないんだけどね」
見上げてきた彼女に対し苦笑しながら謝る。
たしかに年齢はいくつか下だけど、別段子ども扱いしているつもりはない。
ただ自分の胸あたりにある頭は少し撫でたくなる。
「嫌だった?」
「嫌じゃないけど。あ、子ども扱いは嫌かも」
「それなら大丈夫だね」
頭を少し撫でてから手を離す。
「この雪だと、つもらないかな?」
「そうだね。さすがに無理かな」
地面に落ちては消える雪を見ながら答えると、彼女も雪を見ながら眉を八の字にさせた。