夢 短編

□初雪
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しかしふと何かを思い出したように俺を見上げてきた。

「まさか初雪を山崎さんと見るとは……」

「他に誰か一緒に見たい人がいたのかな?」
そわそわした気持ちを隠して彼女に尋ねる。
「そういう人はいないですよ。ってか男の人と見るの始めてかも」
今までのことを思い出しているのか、彼女はうーんと唸りながら首を傾げる。
その言葉が本当なら、たかが初雪でもちょっとした記念になるかもと密かに期待した。

「だいたい姉上と一緒にいましたからね」

彼女の言う姉上というのは、沖田隊長のお姉さんのことだ。
彼女は血はつながっていないけれど、沖田隊長にとって家族のようなものらしい。
小さいころから一緒に過ごしたせいで兄妹のように育ったとかで……。
お姉さんが亡くなった今は、屯所の近くにあるアパートで一人暮らしをしている。
正直な話、それがなかなか一歩を踏み出せないネックでもある。
沖田隊長の妹的存在に手を出すなんて無謀でしかない。誰だってそう思うだろう。

「山崎さんはどーです?」
「覚えてないな。いつも仕事だろうし」

たまたま今日は非番だから外に出ているけど。
仕事で外に出ていてもそんなに気に留めないと思うし、
気に留めるほどの相手と見た記憶は自分の中にない。
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