夢 短編

□誕生日
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カチカチカチと、秒針の音が響く。
私は布団の中で時計を気にしていた。

そしてとうとうやってきた午前零時。

「誕生日、おめでとう」

隣ですやすやと眠っているマルコに向かって囁いた。

どんな言葉を送ればいいのだろう。
なにをしてあげればいいんだろう。
ずっと考えていた。

「ありがとう」

聞こえてくるはずのない声が聞こえて、私は思わず肩を震わす。

「え?え?」

眠っていると思っていたマルコが、笑っていた。

「起きてるの?」
「うん」

そう返事をしてマルコのつむっていた目が開いた。

「なんだよ、なんか、恥ずかしいじゃん」
「ごめんごめん」

マルコは私の頭に手をもってきて、なでてくれた。

「……改めて、おめでとう」
「ありがとう」

直接言うのはなんだか照れくさい。
マルコも照れたように笑っていた。

「嬉しいよ。そう言ってもらえるだけで」
「あ、朝になったら、プレゼントだってあげるよ」
「本当? ありがとう」
「うん……」

君を想って買った、ちっぽけなモノ。
だけど多分マルコならなんだって嬉しいありがとうって言ってくれるんだ。
だけど、本気で嬉しいと思って欲しいから、すごく悩んで買ったモノ。
それはやっぱりちっぽけだった気がするし、
いまだにこれでよかったのかと思ってしまう。


でも、マルコを一番に喜ばせてあげられるのは自分でいたい。
そんな思い上がり。
だけど、そうであってほしい、

「マルコ……」
「なに?」
「ありがとう」
そう言うとマルコは、キョトンとした顔をして首を傾げた。
「え?なにが?」
「……いろいろ」

生まれてきてくれてありがとう。
隣にいてくれてありがとう。
優しくて、温かくて、そばにいるとほっとする。

「今日は一日、一緒にいようね」
「うん」

大好きだよ。





end
 

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