IS〈インフィニット・ストラトス〉宿命を変える奇跡の双騎士

□ 第3話 憎しみを糧に
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私の名はクラリッサ・ハルフォーフ。ドイツ軍所属の軍人であり階級は大尉。そしてドイツIS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』、通称『黒ウサギ隊』の副隊長だ。

現在私は軍より司った任務の遂行の為、専用機である黒き枝を纏い海中にて待機している。

説明によれば、我が国の衛星が何処にも属さない謎のISの存在を確認。私が属する黒ウサギ隊はドイツ国内のIS10機の内3機を持っており、名実ともに最強の部隊。そこで黒ウサ ギ隊に謎のISの撃墜、そしてそのISと操縦者の捕獲という任務が通達された。我が黒ウサギ隊の3機の内2機は第3世代型専用機、1機は 私でもう1機は黒ウサギ隊隊長の専用機である。しかし隊長の専用機は現在トライアル段階に加えそれらの整備点検という事情もあり、今回の出撃はまだ不可能と判断された。 よって隊長は専用機ではなく、第2世代型機体での出撃となった。隊長も私と同じく海中にて謎のISの襲来を迎え撃たんと待機中であ る。

『隊長、副隊長、目標がそちらに接近。一分後には射程圏に入ります』

思考に直接送られてくる個人間秘匿通信。標的の接近を告げる隊員からの通信で気を引き締める。戦いの時はもうすぐそこにまで迫っ てきているのだから当然の事だろう。

『隊長、まずは私が奇襲をしかけます』

『わかった。頼むぞ』

素っ気のない返答がプライベート・チャンネルを通して返ってくる。隊長とはこういう方だから気には留めない。

『来たか』

標的である謎のISが徐々に此方へと近付いて 来ている。100メートル、50メートル、10メートル、5メートル……

『よし、今だ!』

ここぞというタイミングでレールカノンによる砲撃を放つ。狙い澄ました一撃だが、標的であるISは紙一重のタイミングでそれを避けた。

『くっ!』

不発となった結果に下唇を噛み締める。奇襲 は失敗に終わり、向こうもこちらの存在に完 全に気が付いた。もう同じ手は通用しないだろう。

『クラリッサ、こうなってはやむを得ない。 先に此方から仕掛けるぞ』

『了解しました。私が相手の気を引きます。 その隙に隊長が攻撃を』

奇襲こそ失敗に終わったが戦力は2対1、数も戦力でも此方側が優勢なのだ。ならばそれを生かして勝てばいい。

海面を思い切り突き破り、目標と対峙する。 悪魔に取り憑かれたかの様な風貌、今までこんなにも不気味なISは目にした事はない。だが風貌程度で恐れを抱く程ドイツ軍人は柔ではない。

対峙する黒と黒、戦いの火蓋が切って落とされるのは、誰がどう見ても必然であった。





今俺の5メートル程前には、黒きISを纏いし女性が立ち塞がっている。特徴を述べるなら切り揃えた髪型と左目に眼帯をしている事だろう。年齢は俺よりは年上だと思う、恐らくは二十代前半くらいか。さっきの攻撃を行ったのはこのISで間違いないだろう。

「先程の攻撃は威嚇だ。大人しく同行するのであればこれ以上の攻撃はしない」

オープン・チャンネルで交わされる言葉。生憎その問いに、はいわかりました。と答える口は持ち合わせていないのでな、答える変わりにショットガンを二丁コールして両手に構える。
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