ポケットモンスター ブレイカー

□第二部 英雄編
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ミシロタウンを出発しコトキタウンを目指す御一行。

「……弱いな」

レジが近寄ってくるケムッソにジグザグマをことごとく倒している。

「お兄様の指示か完璧ですから」
「まぁ、それもあんだろうけど。レジも強いってもあるんじゃない?」
「ふ、私の頼れる相棒が弱いわけなかろう」

『ふっ』と笑いながらトウガはコトキタウンに向けて歩く。

「あっ、待てよ兄貴〜」
「待ってくださいお兄様〜」

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【コトキタウン】

「おや? トウガ君じゃないか」
「オダマキ博士か」

フィールドワークに出かけていてミシロタウンに帰ろうとしていたオダマキ博士がいた。

「こんにちは」
「どうも」

後ろにはオダマキ博士の助手になりにカントーから来たという二人がいる。

「いゃあ。この二人がいてくれるおかげでいろいろ楽になってね。少し遠出をしてしまったよ」
「以前よりまして酷くなってしまったか」

やれやれといった顔でオダマキ博士を見るトウガ。

「しかし女子の人たちは仲がいいですね」
「私たちは夫婦なのよ」

ナギサの言葉に助手の一人が答える。

「へぇ〜」

そう言いながらトウガの方をナギサは見ている。
トウガはその視線の意味をわかってはいるが何も言わない。

「それで、お二人お子さんはいないんですか?」

すると助手二人は顔が悪くなり黙る。

「なぜ黙っているのだ彼らは」
「いや、ちょっといいかな」

オダマキ博士がトウガを連れて少し離れたところでこそこそと話す。

「彼らね、子供さんと仲が良くないらしいんだよ。どうも子供さんと仲良くする方法がわからないらしくてね」
「なに?」
「そもそも彼らの子供さんは彼の実家に預けられていてね、どうも子供がいると研究がはかどらないからと言って預けたらしい」
「それは確実に親子間の歪みができるのではないのですか?」
「そう思うんだけどね……彼らが彼らで解決するのを待っているんだが……」

オダマキ博士も一人娘がいるので助手二人には子どもと仲良くなってほしいと思っているらしい。

「まぁ。そのためには研究と言うものを捨てねばならぬのでしょうが」
「そうでもないけど思うけどねぇ。彼の父親のあの人は二人の娘さんとはうまくいっているようだし」
「ふむ?」

(それはつまり父親が研究者と言うことか。しかしこの親……)

トウガは自分の母親と比べた。
どうもこの夫婦は自分の子供の事などどうでもいいらしい。
自分たちの研究が優先と言ったところのようだ。

(まったくの屑だな。母さんと比べるのも失礼なレベルだ)

トウガはあの助手夫婦の事を屑と認定したようだ。

(まったく……くだらない……)
(お兄様……どうもあのご夫婦が気に入らない様子)
(兄貴はああいうの大嫌いだからな〜)

「では、博士。私は失礼する」
「む、そうか。君にはあの関係は気持ちよく思えなかったか」
「私の過去は知っているでしょう」
「あの時は私も忙しく助けられずに……」
「いいんですよ。博士は博士なりに助けてくれましたから」

そう言ってトウガはコトキタウンのポケモンセンターへ向かった。

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「……」
「……」
「……」

トウガはまさに不機嫌ですと言う顔をしながらポケモンセンターの個室にいる。

「あのお兄様?」
「なんだ」
「お兄様には私がいますよ」
「そうそう。あたしもいるよ」

そう言ってトウガの両脇に座る二人。

「それも、そうだな……私も敏感すぎるのか知れんな……」


そう言ってトウガは少し笑った。



続く
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