緋弾のアリア 〜守護者とFランク武偵〜
□第12話 一真の特異性とイ・ウー最強候補
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一真SIDE
「貴方は逸材、『教授』の言う通り貴方はイ・ウーにはない能力…いえ、能力なんて言い方よりも貴方が元々持っている本質って言った方が正しいかしら」
俺を評価するのか?
だが限界突破も80%が限度でそれ以上使えば脳に支障をきたしたりする可能性があるし、その可能性がある以上余り使うべきではない。
ステルスだって心を安定化させて放たないとただの雨と同じだ
それ以外の本質と言われても心当たりがない
「でも貴方このままだと自らの想いで潰れるわ」
「そんな想いなんて無いし潰れるはずが……」
「違う、簡潔に言うわ。貴方は自殺の道を選ぶ」
「は?ふざけんな。優姫がいる以上死ぬわけにはいかない」
「足りないわ、せめてもう1人大切な人をイ・ウーで見つけなさい」
「何でこんな人殺しどもから…」
こんな人殺し集団から俺が大切に出来る人は見つかるのか?いや、見つかるはずがない。
なら性格自体変えてやろうか?優姫と3人で裏から抜けて表で生きていける様な奴を……
「ならカナ、お前を選ぼうか?」
「ふふっ。それもいいけど止めておくわ。貴方は記憶の中の3人に強く固執している以上似ている人が第一条件だと思うし……こういう事で心の中に靄を感じたことはない?まるで自分が誰かを忘れているような感覚とか?」
「靄?多分それは神崎って奴なはずなんだが」
マリアがアレキサンダーに殺されてからイギリスのロンドンでトキ兄に連れ帰られるまでの間の記憶がかなり曖昧で断片的な記憶しかなく、そのなかにアリアがいた記憶があったというだけだ。
ただ、アリアの他にも大事な人に出会った記憶があるが……思い出せない
「まぁいいわ、それと何で私が女じゃないか分かったか教えてくれる?」
「変えようがないぞ、まずはお前の大体の体脂肪率はその顔相応の年齢としては低すぎる、女としてはな」
「よくわかったわね体脂肪率」
「伊達に衛生科にいたわけじゃないからな、それと声質が男と同じだな」
「声なんて人それぞれよ」
「お前の声は僅かに低い、俺の耳でも誤差の範囲内ぐらいな。あとはほんの僅かに喉仏が出ているぐらいだな」
だが、その喉仏も何故かあまり発達していない。
カナは確かに仕草等は完璧だし姿も女だ、それもかなり美人の部分に入る。
「あと最後良いかしら?」
「なんだ?」
「あの2人には気付いていた?」
「2人?1人の間違いじゃないの……か…」
足音の方向を見ると予想していたシュウトだけでなく黒い仮面をした奴もいた。
俺の耳でも拾えないほどの無音歩行をする奴なんて3人目だぞ
「やるやないか菅原、カナが被弾するとこ見んの久しぶりやわ」
「ありがとなシュウト、んでその仮面の人は誰だ?」
「この人は俺の師匠や、昔紛争孤児やった俺を助けてくれてんで。師匠も新入りでの前くらい仮面取ったらどうや?」
「そうね、久しぶりに顔も見たいわ」
とカナが言うと仮面が半歩後退った、多分仮面の下では苦笑いでもしてるんだろうな
「やめいやカナ!師匠はお前が苦手やねんぞ」
「私は好きよ、顔もタイプだし」
あ、また仮面が半歩下がった
「うふふ、面白いわね。兄弟2人共愛される人が羨ましいわ、奪いたくなっちゃうくらい」
「ん?シュウトと仮面の人って兄弟なのか?」
「ちゃうで」
「違うのか……」
まぁ他の誰かだろう
「ほら、お前がそんな事言うからキライなんだよカナ!顔がそれなりだから余計厄介だしさ」
「え……?この声って…」
「はぁ、お前も気付くのが遅いな」
「そういう所は鈍い所とかそっくりね」
「やめろやカナ!師匠ちょっと震えとるやろ!!」
違う!そんなこと今はどうでも良い、あの黒の仮面が出した声ってまさか……
ヘッドホン外した俺が聞き間違うはずはない
「おい仮面の人、仮面を外せ!」
「強引だな、もう薄々気付いているみたいだが……俺だ」
黒の仮面がゆっくりと仮面を外すとそこには――――
―見慣れた兄、防人時斗の姿があった。