緋弾のアリア 〜守護者とFランク武偵〜

□第19話 戻れない
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龍SIDE



しばらく走り、着いた場所はグラウンド。
しかしアドシアードとは反対側に位置しているためか、人1人すらいない

「よくこんな場所見つけたッスね」
「人払いなんざ結界一つでどうとでもなる」
「結界……アンタはとことんウチの流派には合わないッスよ。」
「はなから合わすつもりもない」
「兄弟子の過ちは俺が正すしか無さそうッスね」
「貴様に正せるような過ちなど無い」

何度か言い合い、そして分かった。あの人を失いこうなってしまったのだ
覚悟を決め、腰の刀の一本を抜く


「まだその刀を持っていたか」

兄弟子である信鬼が置いていった真剣であり。
免許皆伝の印に師匠から与えられ置いて行った刀。
切れ味も相当な物で、免許皆伝をしていない自分にとっては重用していた

「まぁいい、その程度の屑鉄などに刀を使うまでもない」

そう言いながら信鬼が腰から抜いた銃は、見たことがない形状をしていた。
グリップ等と比べ、尋常じゃないほどの長さの銃身。
まるで拳銃に狙撃銃の銃身を取り付けたような長さ、更に1メートル近い銃身を取り付けた。

「なんスか、その銃は?」

そう尋ねると、信鬼は少しだけ口元に笑みを浮かべて言った

「かつて我が祖となる信長公は古きを捨てる精神を持っておられた。と同時に、新しき物を取り入れるという精神も持っていた。」

そう言いながら銃口をこちらに向けた。
大丈夫、ただの銃じゃなくても銃弾くらい弾き返せる

「これも新しい技術ではある。最も空都市までとは行かぬがな
だがこれも中々の威力だ、その為か一発撃つだけで――

ドォォン!!!!


――銃じゃなくなる」


マズルフラッシュは雷のように輝き、銃弾は轟音を奏で飛び出した。長い銃身から放たれたそれは目にも映らぬ速度で左肩の防弾服を貫いていった
信鬼の持っていた拳銃は銃身が裂け、遊底、撃鉄は原形を失い焦げ、無事なのはグリップのみといった状態だった


「ぐあっ!?」

何が起きた?一瞬で何かが肩を貫いた。何が?銃弾が?

「くっ、なんスか?それは?」
「電磁砲だ、小型のな」
「レールガン…既にそこまで小型化出来てたんスね…」


信鬼は服の中から先ほどの2つを取りだし、再び取り付けた

「貴様に弾けるか?」

弾けない、だが…

「撃たせなきゃ良い話っスよね。『臥竜 咆哮撃』!!!!」

居合い斬りの要領で刀を降り、衝撃波を発生させ信鬼にぶつける。
が、砂煙が晴れると何事も無かったように立っている。

「弱いな、せいぜい蜥蜴程度の咆哮ではないのか?」
「まだ、臥竜ッスよ?」
「ほざけ。最弱の臥竜しか使えない分際で…」
「銃なら問題無いッスよね」

そういい、胸元から大口径の銃。『デザートイーグル』を取り出す

ダン!

大きな音を立てて銃口から発射された銃弾は信鬼の横を通る

「警告っス。大人しく捕まるッス」
「はっ、貴様は昔から射的は苦手だと知っておる。それにその銃弾は我には当たらぬ」

外れたのがバレた。
いや、今は'当たらぬ'という言葉に注目すべきか? 恐らくハッタリではない。まず信鬼はハッタリの類いは大嫌いだ

「まぁ、いいッスよ。そもそも刀技術のみでSランクなんスから」

腰から刀を二本抜き構える。
構えは刀を目の前でクロスさせる構え。 『偽竜流』という流派

「あんたもさっさと構えるッス」
「ふん

信鬼は日本刀を抜いた

二人に緊張が走り、兄弟子という格上の相手に強張る体を無理に動かし信鬼の間合いに入る

「はっ!!」

キィン!

互いにつばぜり合いとなるが、こちらは二刀。余った左で突きを放つ

「弱いな」

そう呟いた信鬼はつばぜり合いを軽々弾き、左の刀を片手に仕込んだ手甲で弾く。

「ちっ!?」
「焦るなよ。つまらなくなるだろう?」
「面白さなんか求めてないッスよ!!」

右足で足払いを仕掛けるが、刀ごと押し返されバランスを崩す。
そこに信鬼からの左ストレートが頬に当たり、大きな衝撃が走る。

「弱い。殺そうか?」
「ぐ……死なないッスよ」
「無様な姿だ、そんな姿でそんな事を吐く言葉じゃねぇな」
「借りにここで殺されようが、後悔はしないッスから。だって後悔しないように生きて来たッスから」

俺がそう言うと、少し悲しげな顔した

「強いなお前は」
「少なくともアンタよりかは…」
「興が削がれたな…」

信鬼はそう言って刀をしまい、立ち去ろうとした。

ダン!

「使えぬ銃を撃つな」

信鬼は此方が発砲しようとも、背を向けたまま歩き出していた。

「なら、…最強の技で行くッスよ!!」

「『醒龍 双爪』」

刀を横持ちで揃え、さながらドラゴンが爪で切り裂こうとする姿に見えた

バキィィン!


が、その二本の刀は信鬼のただの袈裟斬りによって飴のようにかんたんに破壊された

「なっ…!?」

驚き、身体を止めてしまった。信鬼はその隙を突いて横薙ぎに刀を振り、俺の胸から赤い液体が舞った。


「俺はお前が羨ましかった」

その言葉を最後に携帯を取り出した信鬼を見て、意識を失った




キンジSIDE

勝てない相手を見つつ打開策を考えるが、通常モードの俺には良い策が出来ない

「アリア。何か策は無いか?」
「厳しいわね、弾薬も尽きたし近接戦なら束になっても勝てない、白雪は気絶しちゃったままだし」

突如、彼女が持ってきていたケータイが鳴り。それに出た

「はい。了解しました。ジャンヌさん、先に帰還します」
「な!?待て!一真はどうなるんだ?」
「彼なら戻るでしょう」
「嫌だ。一真も共に帰還するんだ、織田なら可能だろう」
「分かりました。一旦菅原さんのところまで戻りましょう」

ジャンヌを逃がす。下手すれば死んでしまうこの状況下では逃がす方が安全だ
そうして体の力を抜き、その場に座り込んだ
瞬間だった


ドォン!

「くっ!?」


轟音と弾丸が通過し、弾丸が彼女に直撃した

「待てや、勝手に人ん家来てタダで帰す思とんか?」
「蘭豹さん…ですか」
「きょ、教師か!?」


驚く彼女とジャンヌ。そこからは圧倒的だった。
次弾でジャンヌを気絶させ、彼女の反撃を一切許さずM500で追い詰める


「くっ、すいません菅原さん」

そう言った彼女は、気絶したジャンヌを置いて砂煙を立て何処かに逃げた。


「ちっ、まぁエエわ。遠山。まだ志摩らが戦っとんやったら助けに行きや。援軍は他にもおるけどな。」

蘭豹はジャンヌを片手で軽々と担ぎ、その場を後にした。
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