緋弾のアリア 〜守護者とFランク武偵〜番外編

□菅原一真と命千紗(下)
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一真SIDE



その次の日、千紗が学校に来なかった。
先に行くように言われ、疑い無しに学校へ向かっていった。しかし二時間目を過ぎても千紗が来ないことに嫌な予感がしていた。

「なぁ菅原、命さん風邪でもひいたのか?」
「んな訳ねぇよ、朝まで一緒だったのに」
「つっこまねぇぞ、意地でも一緒なんてとこにつっこまねぇからな」

ジト目でこちらを見てくる蓮井

「菅原君、気になるんだったら…」
「ああ、そうだな」

帰って千紗の所に行こう
「凛、頼む」
「おうよ。先生!菅原は無茶してるみたいなんで保健室に連れてきます」
「そうか、早退をしても構わんぞ?その代わり明日きちんと二人で来いよー」
「了解でーす」

さすがに先生だな。全て見通されている
そのまま体調の悪いフリをして教室を出て、千紗の家まで全力で走る


そして、千紗の家に着いた。いや、そこに家はなくただ炭と灰だけになっていた


「千紗!!」

思わず駆け出した

「君危ないから下がって!!」
「武偵です通してください!!」


制止する消防士を押し退け家だった物に近付く

「千紗!!っつ!?」

灰に触れた瞬間、頭の中にある文字が現れる

『再び同じ場所にて待つ。家族はまだ無事だが、生かすも殺すも私次第』

間違いない、間違ってたまるか。忘れもしない殺し屋、司馬

「司馬ぁぁぁぁ!!」

そのままいつかの元別荘へ駆け出した。





〜海岸〜

「随分とお早い。学生の分際で早退ですか?」


司馬の周りには部下らしき人物が二人。
千紗の居場所は奥にあるプレハブの小屋だろう


「司馬!今すぐ千紗を返せ!!」
「ふふ、焦らないでください!震、樊。やってください」

二人の部下はプレハブ小屋から4人を連れ出す。

叔父さん、千紗のお母さん、千紗、優那ちゃん、優姫だ

「今すぐ離せ」
「くくっ、一番下と二番目を起こしてください」

震と呼ばれた方が優那ちゃんと優姫を起こす

「う、うん……」
「優姫、優那ちゃん!!」
「ん?お兄ちゃん?」
「兄様!?あれ?私ムグッ」
「てめぇら!!乱暴に扱うんじゃねぇ!!」

優姫と優那ちゃんの口を塞がれる


「さて、勝負しましょうか」
「ふざけんな!!今すぐ千紗達を離せ!」
「この状況を考えれば答えは一つの筈ですが?」
「分かったよ、やってやる!!勝負方法は?」
「純粋な戦いですね。貴方が気を抜かないように、10分毎に1人殺します。せいぜい努力頼みますよ」
「なっ!?くそ!!やってやるよ」



この前仕入れたコルトM1900を構える。ゴムスタンなのはそのままだが、充分だ

「さて、私は三節棍でも使いますか」

相手が袖から棒を出す。それを出させまいと腕を狙い撃つ

カァン!!

「ふふ、やはりトンファーにしていて正解ですね」
「うるさい!!」

ダンダンダンダン!

放った銃弾は、体を反らして交わされる

「そろそろ近接の相手でもしてもらえますか?」
「うるさい!!死ねぇ!!」

ナイフを取り出して、接近してきた司馬のトンファーを受ける

バキィィィン

受けていたナイフが砕け散る。
念のために用意していたダガーナイフをもう一本出して、幾度となくトンファーと打ち合う

数回体にトンファーの一撃を受けるがかまわない
何合打ち合っただろうか?だがまずい、そろそろ10分になる

「くくく、10分ですね。樊、母親を殺しなさい」
「なっ!?止めろ!!」


千紗のお母さんが深く斬られ、鮮血を散らした。
その鮮血を浴びることしか出来なかった優姫と優那は、絶句しながら気を失った。

「そ、んな…」
「ふふ、樊。優姫ちゃんは起こさなくても良いです。震、10分後優那ちゃんを起こしてください。父親を殺します」
「……めろ」
「はい?」
「止めろ!!80%解除!」

目に写る景色に青いフィルターがかかり、身体中に力がみなぎると共に頭に少しだけ痛みが走る。

「ふふ、樊。代わりなさい」
「御意に」
「逃げんな!!水槍」

左手に集中させた水から槍を繰り出す

「ぬん!!」

が、槍を樊に斬られ、斬られた先がただの水に還る

「小僧、10分間だけ遊んでやる。我が名は趙樊(ちょうはん)」


趙樊と名乗った男の武器は、薄い刃に上に反ったフォルムの剣。青竜刀


「邪魔すんじゃねぇ!!水縛」
「ふん、甘い。ハリアルド様の拘束に比べるとまるで紙だな」
「うるさい!!水斬刀」

捕縛をとかれた瞬間にダガーナイフを取り出し、水を纏わせ青竜刀に似せる

「ふん、来い」
「はぁあ!!」

キィン!!

水と金属ではなるはずのない金属音を鳴らす

「伸びろ!!」

刀を伸ばすと趙樊の肩を掠める

「ふん、鎖帷子を斬るか。ナマクラではないか」
「まだだっ!!」

懐からD.Eを取り出し、近距離で撃つ

バン!!

僅かに顔をしかめる趙樊だが、直ぐに元の表情にかわる
鎖帷子なら突き、銃弾には弱い筈だ。なのにダメージ一つ負わない

「何の手品だ」
「さて?後5分だぞ」
「させねぇ、もう人を殺させねぇ!!」
「意地だけじゃ何ともならんぞ」
「なんとかなる、なんとかする。」

千紗が言ったように、俺だってなんとかしてやる
次の瞬間、叔父さんの胸に槍が刺さっていた


「なっ!?叔父さん!!」
「司馬さん!?どういうことですか?」

趙樊が問い詰める。

「腹立たしいことこの上ないですよ。」

叔父さんはその一刺しで目を覚ます。

「ぐっ……遅かっ…たか」
「お父さん!!いや…」

優那が叫ぶが、震によって口を押さえられる


「叔父さん!!喋っちゃ駄目だ!!」
「いいんだ、一真様……これが…紫紫の宿命…」
「その通りですね。貴方は選ばれなかった、だから死んでください。奥さんが天国で待ってますよ?」

司馬が槍を捻りながら言う。
分からない、分かんねぇ。

「わかんねぇよ!!紫紫だの何だの!!司馬ァ!、お前はなにがしてぇんだよ!!」
「ふふ、『海都市計画』ですよ。さぁ最期に話したいことをどうぞ。震、彼女を起こしてください」


司馬に命令された震が千紗を起こす。
起きた千紗はこの状況にただひたすらに困惑した。



致命傷なほど血を大量に流し、倒れている母

口を押さえられ、目は涙で溢れている優那

ただ、地に伏している優姫

体を槍で貫かれ、口からも血を流す父

そして、身体中傷だらけで息を切らした最愛の彼氏、一真。
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