緋弾のアリア 〜守護者とFランク武偵〜

□第4話 脳内限界突破と亀裂
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SIDEキンジ


「一真!!大丈夫か?」
「ああ、片腕だけだ。お前も防弾制服を運転手に着せやがって」



「構わん、それよりアリアは?」
「ルノーの追突でヘルメットを道に落としてインカムもダメになった」

するとすぐにアリアワイヤーをつたい上がってきた

「あんた達防弾制服は?」
「ヘルメットは武藤に制服は運転手に渡した」
「バカなの?そんな格好で出てこないで危険よ」
「俺なら大丈夫だ」

勿論ヒスってない俺じゃ無理だがここまで言われればプライドが許さない

「気を付けろ、後方に1台いるぞ」
「ああ」
「とにかくキンジ、もど…危ないバカ!」

アリアが顔を真っ青にして突っ込んできて一真は俺に向けて銃を構えていた。

分からない、どういうことだ?
理子の言う通り一真に裏があるのか?
まさか武偵殺しなのか?

直後バスの前方に雨に紛れて車の音が聞こえた
ふりかえり、ルノーの運転席のUZIの銃口から銃弾が火花とともにでてきた。

「なっ!?」

それに驚いた俺は目をつむった


バシュッバシュン!!


2発が誰かに被弾した。そして確認に目を開けた俺の目の前には
血を飛び散らしたアリアがバスから転がり落ちていった

「アリア!!」

俺はアリアの腰から屋根に付いていたワイヤーを力一杯引っ張った
今撃たれたらアウトだ…、だが撃ってこなかった。アリアがルノーのUZIを壊していた

「アリア、大丈夫か!?」

引き上げたアリアを見ると額に2発かすっただけだった

「良かった…アリア……」

そう思ったのも束の間、後方から六台のUZI付きルノーがバスを追い越して前方から上にいる俺達を狙った

「六台だと!?しかも俺達狙いかよッ!!」
「伏せろキンジ」

ズダダダダ!

六台分の銃声と共にやけに落ち着いた一真の声が聞こえた




SIDE一真

6台!?ちくしょう、ただでさえ左腕からの出血でクラクラするのに使わなきゃならねぇのか?
『脳内限界突破(リミットアウト)』を…
次の瞬間に銃声が聞こえた


――――60%解除

「伏せろキンジ」


俺は一番手前の銃弾2発を見切り特注品ゴム弾2発を当てた

キンキンキン

銃弾と銃弾が弾きあう音がなり、6台のUZIとルノーに銃弾が幾度となく当たりスピンした6台はガードレールにぶつかり大破した

「あとは…任せたぞ、キ…ンジ」


ズキン

そして代償として脳に痛みが走り意識を手放した


SIDEキンジ

状況が理解出来ない、ルノーはだいたい5秒位撃っていた、単純計算で300発。それを2発で全て弾いた
いや、真に恐ろしいのは弾き返してルノーを壊したことだ

「人間業じゃない…」

そんな言葉が口から漏れたが今はアリアと一真の救助が優先だ
俺はヘリでこちらを狙っていた狙撃手に合図を送った。するとインカムから声が聞こえた


『私は1発の銃弾。銃弾は人の心を持たない。故に、なにも考えない。ただ、目的に向かって飛ぶだけ』


タン、タン、タン

3回銃声が聞こえたあとバスの下から何か塊が海に落ちていった


タン……ドォォン!!!!


爆炎とともに巨大な水柱が立ちミッションが終わった事を示した
俺は待機していた救急車に一真とアリアを乗せて事件は終わった




SIDE亜瑠

「アリア…一真」
「何故泣いているんですか志摩さん」

レキさんが泣いていることに気付き声をかけた

「出来なかったんだ」
「何がですか?」
「出来なかったんだ、何も出来なかった。ただただアリアやカズが傷つく所を見ていることしか出来なかった」
「………」
「武偵向いてないよね、Fランクじゃ……」


頬に涙が伝う、憧れだったレキさんこんな姿を見せたいわけじゃないのに涙が止まらない

「十分です」
「へ?」
「あなたが車輌科に救急車を要請しなければ菅原さんは出血多量で危険な状態になってしまっていたかもしれません。あなたは十分役割を果たしました。一般生徒からすれば尊敬に値します」
「僕はレキさんが思っているような人じゃない」
「私もあなたが思っているような人ではありません、完璧な人間はどこにもいません」


いつもの無口からは想像が出来ないくらいの饒舌ぶり、慰めてくれてるのだろう、おかげで心が安らいだ。

「でも駄目だね、女の子に慰められてるようじゃ」

僕はレキさんが大好きだ

「だから強くなる、レキさんを慰められる位に」
「そうですか」


いつもの抑揚ない声で無表情だが 、いまの僕には十分だった

カズに射撃習わなきゃね



SIDEキンジ


今、一真の病室にいる

「どうしたキンジ?お見舞いか?」
「いや、一つ聞きたいことがあってきた」
「なんだ?」

そして俺はあの時の疑惑を一真に問いただした

「一真、アリアがUZIに気が付いたときのことだ」
「ああ」

「あのときお前もUZIが見えていた、じゃあなんで、













――――――撃たなかった?
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