緋弾のアリア 〜守護者とFランク武偵〜

□第13話 銀氷の魔女と白雷
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一真SIDE


プロフェシオンが部屋に居なかったので、シュウトにプロフェシオンの居場所を聞くために部屋を出るとソイツに遭遇した

仇敵とも言える司馬。だが俺程度では歯が立たない程の敵

「プロフェシオンに会うことは出来ませんよ、プロフェシオンが会いたがらなければ」
「司馬さん、すいません今はプロフェシオン以外とは話したくないので」
「さっそく妹を置いて逃亡ですか?」

挑発的な言葉で怒りを扇ぐ
何がしたいんだ?

「違います」
「まぁ任務を幾らこなせば帰れるか、辺りですか?」

大正解だ司馬。トキ兄がいる以上優姫はトキ兄に任せれば大丈夫だ
だから俺は任務をこなす

「はい。」
「残念ですが貴方はこの任務は出来ませんよ」

小さな微笑を浮かべながらそう言ってきた

「なぜですか?」
「貴方の任務は『殺害』ですから」
「殺……害、人を殺すんですね。覚悟位してましたよ」
「そういう強がりは震えをしなくなってから言って下さい」

やっぱ足の震えは抑えられねぇか
だけどイ・ウーに入った時点で覚悟決めてるから1人位殺すぐらいわけない

「ふふふ、貴方は何か勘違いしているみたいですが……殺すのは20人ですよ。まぁ用心棒次第ではもっと多いですが」
「………20人くらい」
「貴方は覚悟が足りません、さぁ殺してきてくださいよ。人1人守れないクズさん」


千紗…マリア…そうだ、…守れない自分はなんて要らない、20人の命を奪って優姫を助ける覚悟なんて持ってない。だからクズ

嫌だ

もう誰も守れないクズになんて嫌だ。『防人』の道が極められなくても、人の道じゃなくても、大切な人"だけ"を守るために他人を殺す。


俺は目標である幹部会が開かれている場所に向かうことを決めた



「聡明、故に単純、故に面白い玩具となる。せいぜい楽しませて下さいねクズさん」




〜日本某所、幹部会〜


ここに標的の20人がいる。武器は改造デザート・イーグルとダガーナイフのみ
出し惜しみはしない。ステルスをフルに使う

「誰だ!!」

ここは建物の入り口からはまだ少し距離がある金網でできたフェンスの門の手前付近。敵は二人で見たところ用心棒でも標的でもなく標的の部下辺りと予想出来る。

「悪い、優姫の為だ」

パシュパシュッ!

左手に握ったサプレッサーを取り付けたD.Eで額を撃ち抜き二人は力なく倒れる

「おい、生きてるか?」

当然額に穴が空いた肉塊が返事なんてするわけなんてない、本能でも理性でもそれは分かりきっていたが心のどこかが認めていない

「もう、後戻りは出来ない……もう…武偵には…」

正体がバレないためにもする事は皆殺し
まずは建物の周りにいる部下と用心棒、標的二人を全て撃ち殺すことだ

敵を殺す皆殺す全て殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す………

やってやる



「動くな!誰だお前は?」
「殺す」
「なんだその目!?やめッ」

パシュン

「殺ーっちゃった、殺っちゃった♪いや3人か、よくやるねアンタ」

金網の上には金髪をなびかせながら微笑む女性がいた。髪には白い星を型どった、どこかで見たような髪飾りを着けている。腕には似たようなブレスレット


「殺す」
「アンタ目が死んでるよ、まるで壊れた人形みたいな目」

パシュン

放った弾丸は当たらなかった、

「お前何者だ?」
「アタシ?んー、強いて言うなら『傍観者見習い』って感じかな」

ニコッという効果音まで聞こえそうな笑顔で言ってくる
今の自分にはそれが不快でたまらなかった

「死ね」

パシュン

しかし弾丸は再び逸れる

「やーん、こわーい。なんちゃって」
「『水球』」

銃をしまった左手から出たソフトボール大の水の玉は女に当たって濡れただけだった。
何故だ?岩も砕く威力なのに濡れただけ?

「気持ちいいシャワーありがと。あとキミは左手以外使っちゃダメだよ、後悔するから」
「黙れ、死ね『水槍』」

右手から出た水の槍は女に当たらなかった、というよりは女が消えた。
そしていつの間にか隣で俺の右腕を触っていた


「こんなに男らしい腕して可愛い女の子に攻撃しないでほしいな」
「くっ、触るな!」

裾に入れていたナイフを振り回し、頬をかすらせ傷をつける

「あり?交わしたと思ったんだけどなぁ〜。責任取ってよね」

今度はそう言って右腕を引っ張り頬にキスをした。
先ほどまで真っ白だった頭が少しだけ現実に引き戻される

「何のつもりだ?」
「キミはアタシのモノってマーク?」
「聞き返すな」
「ふふっ、出来ればもっと冷静なキミとハリアルドっちにもお話したかったけど時間切れだよ」
「ハリアルド?」

知らないふりをする、そもそもハリアルドが入ってからは1度しか変わっていないし戦いでもハリアルド以外はいなかったからハリアルドが俺の中に居るのは兄さんしか知らないはずだ。


「しらばっくれちゃって、かーわいい。それじゃバイバイ」
「おい待て!!」
「まーたなーいよー♪」

まばたきをしてしまった次の瞬間には女の姿はなかった

「一体なんだったんだ?」

キスされた右頬を左手でさすりながら消えてしまった女が座っていた金網を見ていた

そこには僅かに金色に変色した紫色の髪の毛が落ちていた…
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