十三代目の思い出


□秋雨と夜
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「いいから寝ていろ。お前、倒れてたんだぞ。」
奈津は黙って、少年の冷たい腕を握る手に力を入れた。
「…見かけによらず頑固だな?」
「なんとでも言ってください。私はあなたに…」
ここまで言って奈津は目を反らした。
「……風邪ひいてほしくないだけですから。」
「……。」
奈津は手拭いを絞って少年の頭を拭き始めた。
「自分でできる。手をはなせ。」
じたばたともがきだした少年は、真っ赤な顔を隠すようにうつむいて言った。
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