十三代目の思い出


□序章
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ぶっきらぼうで人嫌いの、いけずなあなたに恋をした。
あの日から随分と遠く―あなたは覚えていますか?


「・・・ちっ、何で今頃・・・。」
比古清十郎は長身の体を起こして呟いた。
部屋には朝日が射し込んでいる。
彼は白外套を羽織って外にでた。


緑の匂いを含んだ初夏の風が頬をなでた。
(昔の夢を見たと思ったら・・・今日か。)
奈津に初めて会ったのは、丁度この季節だった。
 

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