アイス

□クリスマスなんて
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クリスマスなんて




「カイト、クリスマスは予定はあるのか?」

晩ご飯を作っているカイトに数日前から気になっていたことを聞いてみた。

「んー…無いよ。クリスマスなんて無かったんだよ」
「は?」

サラッととんでもないことを言い出したカイトに、思わず声を上げた。鼻歌でも歌い出しそうな笑顔なのになんだか黒い気がするのは恐らく気のせいでは無い。

「……何か、あったのか…?」

機嫌を損ねないように聞くと、尚も作業を続けながら答える。

「がっくん。クリスマスといえど、約束は守るべきだと思わない?」

約束――もしやマスターか。確かカイトはクリスマスに新曲の練習が入っていた。と、いうことは……

「クリスマスは彼女と過ごす事になったから、練習はまた今度。だってさ」

やっぱり。マスターの彼女はクリスマスは休みが取れないかも、と言っていたらしいが…休みが取れたのか。

「楽しみにしてたのに……」

とても小さな声で、けれどはっきりとカイトは言った。

「ならばカイト、クリスマスは私と過ごさないか?」
「……がっくんと?」
「あぁ。嫌か?」
「嫌……じゃないけど」
「なら、デートしよう」
「は?」
「だから、」
「あー!言わなくていい!つーか何で俺とがっくんがデートするの?」
「カイトは私の嫁だろう」
「なんで?!」
「可愛くて家事も得意。良いお嫁さんではないか」
「俺男なんだけど!!」

あたふたしつつもツッコミを入れるカイトは頬を染めていて可愛らしい。

「カイトは何処に行きたい?」
「だから!」
「私とでは嫌か?」
「う……嫌………………じゃない」

聞こえるか聞こえないかくらいの声だったが、私は確かに聞き取った。実はこれでも結構な進歩だったりする。普段はアピールしても聞き流されてしまうからな。カイトの天然っぷりにも困ったものだ。そこが可愛くもあるのだけど。

「カイト、好きだ」
「うん、俺も」

絶対伝わってない。
デートだ嫁だ言った後だと言うのに何故こうも早く天然に切り替わるのだ!

「……デートの計画は私が考えておこう」
「ん。よろしく」






クリスマスなんて存分に利用してみせようではないか




(あ!カイ兄、がっくんとデート?)
(リン?!それにレンまで?!)
(がく兄、頑張れよな!)
(うむ!)


END

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