その他
□夜が更ける
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きがついたら、ハルとはぐれてしまっていた。ここがどこなのかというよりも、ハルとはぐれてしまったことのほうだいじだ。もってたはずのかいちゅうでんとうもおとしてしまったみたいで、まわりはまっくら。ううん、すこしはなれたところにがいとうがある。でもそんなにあかるくなくて、ちょっぴりふあんになる。
「ハル……ハル……」
うつむいてもじぶんのあしがみえるだけ。ハルはどこにいっちゃったんだろう? あたりをみてもここがどこなのかわからない。それどころか、はぐれてしまったのはわたしのほうみたいだ。やまのなかじゃないい。がいとうのしたまでおそるおそるあるいていく。あかるいところだけみても、きれいなどうろだ。だったらここはまちのどこかなのかな。あまりみおぼえはないから、ふだんいくばしょからとおいのかもしれない。
「……ハルを、さがさなきゃ」
ひとりでくらいなかをあるきまわるのはこわいけど、ハルだってふあんになってるかもしれない。わたしがみつけてあげなきゃ。はぐれてしまったのはわたしだから。めのまえのくらやみのなかへ、いっぽあしをふみだす。あかりがすこしずつとおざかっていく。よる、そとをであるくことはめったにない。よるはおうちからでちゃだめだっていわれてるから。でも、ハルとはなびをみたくて。なつのおもいでをつくりたくて、やぶってしまった。ひるまでも、チャコのおさんぽでまちじゅうをあるくことはある。ハルとこうえんへあそびにいくこともある。でも、いまは、ひとりなんだ。
だいじょうぶ、だいじょうぶだから。まっくらはこわいけど、きっとすぐにハルにあえるから。ゆうきをだせ、がんばれ。しずかなまちのなかは、ひるまとはぜんぜんちがう。じぶんをゆうきづけながらゆっくりよるのまちをあるいていく。
「あ、これ……かいちゅうでんとうだ」
しばらくあるいたところでかいちゅうでんとうをみつけた。でんちもはいっていて、スイッチをつけるとまっくらなみちがすこしだけあかるくなった。こころぼそかったのが、あかりのおかげでちょっぴりおちついた。よかった。これで、すこしだけこわくなくなった。さっきよりもちゃんとあるける。ふわふわしない、ちゃんとじめんにあしをついてあるいてる。
「ハル……すぐにいくから」
かいちゅうでんとうをにぎりしめて、わたしはまたいっぽあるきだした。ハルがあそこからうごいていないなら、まだやまにいるかもしれない。もしかしたらわたしをさがしてあるきまわっているかも。いきちがいにならないように、はやくハルをさがさなきゃ!