鬼滅の刃

□今の俺はとにかくこの話を誰かとしたくてたまらない
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「…全部聞こえてるんだよなぁ…」
いっそ耳を塞いでしまいたいが、どうやら収まるところに収まったようでほっと息をつく。

「炭治郎くんの完全勝利のようですねぇ…」
今日も今日とて、資料室で胡蝶さんと共に、あの2人の話に花を咲かせる。

「そもそも竈門は普段から声がでかいし。…我妻はまた、良く通る声してるからなぁ…。屋敷中に聞こえてるんじゃないかと心配になりますよ…」
「大丈夫です。今日屋敷にいるのは皆、2人のことを知っている人達ばかりですから」
ふふっと笑んでいるその顔が何となく恐ろしい。

「でもここには、小さな子だっているでしょう?」
「あの子達なら心配ありません。むしろ煮詰まった炭治郎くんが善逸くんに無体を働くのではないかと心配していたくらいですから」
「…それはまぁ…、何というか…」
あんないたいけな少女達にまで心配をさせていたとは。
はぁぁっと頭を抱える。

「そういえば、善逸くんは今日がお誕生日のようですよ。桑島さんがそう言っていましたから。後で炭治郎くんにも教えてあげましょうね。きっと驚きます」
「…それはさすがに、もっと早く教えてやった方が良かったんじゃ…」
そんな大事なことは、俺ならもっと早く知りたい。
今からではたいしたことも用意出来ないに違いないのだ。

「あんなに切羽詰まっていた炭治郎くんに教えても仕方がありませんからね。善逸くんは自分の誕生日に全く興味がありませんでしたから。捨て子なのだし本当にいつ産まれたのかも分からないのだから誕生日なんて何の意味も無いと、そう言っていました。そんな善逸くんに恋仲でもない炭治郎くんがいくら迫っても、拒絶されて終わっていたと思います。でもまぁ、もう収まるところに収まったようですから、教えてあげても大丈夫でしょう」
ふふ、と笑むその顔は変わらず美しい。

「お誕生日だからと言うわけでもありませんが、今日から炭治郎くんと善逸くんには、離れの一番奥にある部屋を用意しましょう。流石に閨の声まで聞こえてきては、互いに気まずい思いをしてしまいますからね」
何でも無いことのように言うその姿に、柱って怖いな…、と改めてそう思った。


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