鬼滅の刃

□幸せになろう、善逸
1ページ/4ページ






「ねぇ炭治郎。…頼みがあるんだけど、今良いか?」
「どうした?」
「…俺と、まぐわってくれない?」
「は…?」
「1回で良いからさぁ。…駄目か?」
「駄目っ、じゃ、ないっが…!急に何を言い出すんだ?!」
「んー、炭治郎のことが好きだから。1回、抱かれてみたいなぁって思ったの」
「ぜん、いつっ…!」

呼吸が止まりそうだった。
ずっとずっと好きだった。
だけど彼はきっと妹のことを好きなのだろうと、無理矢理自身の気持ちに蓋をし続けてきたのだ。

普段の彼とは何処か異なる雰囲気。
静かに、穏やかに。
だけどその中には確かに『恋』の匂いが満ちている。
禰豆子に向かっているのだと思っていたその匂いが今、まごうことなく自分へと向けられている。

「…本当に、良いのか…?」
肩から腕に掛けて、その稜線をなぞる。
「いや、俺が頼んでるんだぜ…?…無理そうなら、良いけど…」
「無理じゃない!むしろ俺からお願いしたいくらいだ!!」
「あ、そう…?なら、…」


言い掛けた体を抱きしめる。
頬に手を寄せ、指先でそっと唇に触れてみる。
柔らかくて温かなその感触に胸の奥がずくんと疼く。

厚い手のひらで握りしめ、善逸の腕を引く。
それを見て、善逸が嬉しそうにへにゃりと笑う。
その笑顔を見つめて、ごくりと唾を飲み込んでいく。
「本当に、良いのか?」
「頼んだの、俺だよ?」
「…本当に、抱くぞ」
「うん。抱いて。炭治郎」

恋の匂いに混ざる羞じらいの匂い。
それがふわりと鼻腔を擽る。

その香に誘われるように顔を近づける。
ふに、と唇で柔らかな唇へと触れる。
ぺろりと差し出した舌でなぞれば、甘い甘い味がした。
ちゅっ、ちゅっ、と何度も何度も啄んで、柔い唇に吸い付いていく。
すると微かに震える指先で、善逸が俺の腕に縋り付く。
剣士として鍛え上げられた体。
それが今、こんなにも頼りなげに自分に触れている。

唇を舐め、その温かな口内へと舌を侵入させていく。
まったく抵抗なく差し出されてくる舌を食み、舌先で舐め、絡めるようにちゅくっと吸えば、普段はあれだけ頼もしい善逸の足がかくりと揺れる。
だからそのまま畳の上へと押し倒した。

自分の服を脱ぎ捨てようと思っていたら、いまだに善逸の指がその袖にしがみついている。
驚かせないようにそっとその指を自身の指に絡め取り、どうにか上着を剥ぎ、シャツを脱ぎ捨てる。
ベルトを外しズボンを脱ぎ去ると、互いの唾液を飲み込んだ善逸の喉がこくりと鳴った。

これだけ耳の良い彼のことだ。
きっと自分以上に、この口付けの音が耳に響いているはずだ。

怖い、助けて。
そう泣いていた頃を思い出す。
いつも泣きながら飛びつくようにしがみついてきて、俺の胸に顔を埋めて泣いていた。
あの頃からずっとずっと、俺は善逸のことを大好きなままだ。
善逸からはいつだってああして手を伸ばしてくるくせに、こちらから伸ばせばするりと躱される。
もどかしく思っていたあの日々を思い出す。

…今はこうして、俺の腕の中にいてくれる…。

それが無性に嬉しくて仕方が無かった。
ずっとこうして抱き合いながら嗅ぎたいと思っていたこの匂い。
自分自身へと向けられる恋の匂いと、情欲の匂い。
それを胸いっぱいに吸い込みたいと、ずっとそう願っていた。

それが今、叶おうとしている。

口付けを交わしたまま、服の上から体を撫でる。
手のひらを滑らせるたび、甘い匂いが沸き立つように鼻を擽る。

ぷつりと釦を1つ外すと、指先が喉へと触れた。
堪らずもう1つ。
白い喉へ触れるように指先を這わす。
そしてもう1つ。
釦を外していく度、素肌の匂いが濃くなる気がした。
掴まれていた指をそっと握り込み、頬へと当てる。
善逸の両手で挟まれている頬が熱い。

ゆるりと上着を引き抜くと、白いシャツ越しに温かな肌が触れる。
小さな口いっぱいに自身の舌を含ませて、善逸自身の舌で己の舌を舐めさせていく。
んくっと苦しそうに2人分の唾液を飲み込む善逸の喉が揺れる匂いを堪能する。

シャツ越しに胸を撫でる。
ずっと触れたかった体の熱が、薄い布一枚隔てて今ここにある。
引き締まった体。
鍛え上げられた肉体。
それがこんなにも頑是無く自身の体の下にある。

シャツの釦に手を掛ければ、ひくりと震える。
それでもその先を強請るように、善逸の腕が俺の体を抱きこむようにしがみつく。
ちゅくりと唇を離し、ほぅっと息をつく。
潤んだ琥珀を舐めるようにちろりと舌を這わせると、白い肌に朱がのぼる。

ぷつりぷつりと釦が外されていくたび、白い肌が視界を魅了する。

「好きだ…。善逸…」
耳元で囁いて、そのまま耳朶を食む。
シャツを腕から引き去ると、視界一面に白い肌が浮かび上がる。
こくりと鳴る喉が誘うように上下するからそのまま強く吸い付いた。
同じ箇所を何度も何度も強く吸えば、そこに残る朱い痕。
白肌に浮かぶ淫らがましい朱が、更に己の劣情を煽り立てる。

怖がりの彼をゆっくりと抱きたいとは思っているのに、劣情がそれを妨げる。
その胸を揉み込むように手を這わせれば、ひくりと身じろぐ。

つんと膨れている乳首を摘まんで捻るように弄べば、指の間でそれがぷくりと熟れていく。
脇腹をなぞれば、ぴくんと跳ねる。
拙いはずのこんな愛撫に都度反応を返してくれる姿がいじらしくて愛おしい。
胸元へと唇を寄せ、ちゅくりと吸い付く。
ちゅ、ちゅ、と濡れた唇の音が響く。
善逸の耳にはどう聞こえているのだろう。

きゅむっと乳首を握れば、意外にそこがくにりと伸びる。
指先でくにくにと弄べば、善逸の体から沸き立つ匂いに甘さが増した。
しばらくそのまま弄び、胸元にいくつも朱を刻み込む。

自分の舌が這った痕が淫靡に残されていく光景が嬉しくて、何度も何度も吸い付いていく。
がりりと歯を立てれば、歯列に沿った鬱血痕が刻まれる。
その鬱血をべろりと舐めて、ぷくりと熟れた乳首へと舌を這わせる。
その先端を舌先だけでちろちろと舐め、態と歯を立て甘く噛む。
れりゅっと舐めれば、乳首の味が口いっぱいに広がった。

その匂いに浮かされるようにちゅうっと吸う。
ちゅうちゅう吸いながら舌でれろれろと乳首を舐める。

擽ったそうに身を捩り、善逸が甘い声を立てる。
「なんだよぉ…そんなとこ舐めても吸っても何も出ねぇぞ?…たんじろ、赤ちゃんみたいだなぁ」
そうして頭を抱き込むように囲い込むから、そのまま何度も吸い上げた。

れろれろと舐め、ちゅうっと吸い付き、歯で挟んで軽く引っ張る。
善逸の上げる声に艶が増す。
それを聞き取り、ベルトに手を掛け外していく。
鼠径部を撫でるように内腿へと手を這わせ、そのまま足首辺りにまでズボンをずらす。
この足の間に体を埋めて鳴かせる妄想を、幾度となく繰り返していた。
だけど現実の善逸はそんな妄想など遙かに超えて、更に淫らがましく俺の情欲を煽り立てた。

舐められ弄られ、それで生じた快楽を逃がすように軽く膝を立てている。
足と足の間に出来た隙間から、その内腿の筋肉の動きまでもが見て取れる。
ごくりと唾液を飲み込んだ。

忙しなく自身の体からもズボンを取り去り、下履きをも剥ぎ取っていく。
善逸の体からも足首に引っかけていただけのズボンを抜き取り、下履き越しにそっと撫でていく。
ぶわりぶわりと巻き上がる羞恥の匂い。
そして善逸の体が元来持っている肌の匂い。
それらが合わさって、匂いだけで酔いそうなほどだった。

背中に腕を回し、抱き込みながら舌を這わせる。
唾液に濡れた肌がてらてらと光る度、ずくんと下半身が疼く。

すでにそそり立っている自身の屹立を善逸の足に押し当て、緩めた下履きをそっと抜き去る。
風呂場でちろりと視線を絡めたことはあったが、こんなにも間近で見るのは初めてだった。
柔らかな金色の毛先を指先で弄び、つうっと指だけで善逸の男根をなぞると、びくんと体を跳ねさせる。
その初心な反応が嬉しくて、ちょんちょんと指先だけでつつき上げていく。

「…ちょ、たんじ、ろ…!なに、してるの…!」
「善逸のここを見ている」
そう言ってきゅむっと手のひらで包み込めば、「ひゃんっ…!」と甘い声を響かせる。
「美味しそうだなと、そう思って」
ぐちゅっと一息に口に含めば、声にならない掠れた悲鳴が迸る。
「まっ、待って…!無理、しなくて、良いからあぁぁっ…!」
「無理はしなくて、良いのか?」
「いいっ…!良いから、だからっ…!」
「そうか。…ありがとう」
許しが出たのを良いことに、音を立てて陰茎をしゃぶり上げる。

「ひやぁあぁぁぁっ…!?」
羞恥の匂いと、快楽の匂い。
その肌を赤く染めて善逸が鳴く。
「うう、んっ…!…、やっ…、まっ、んぅっ…!?」
やわやわとした陰嚢を揉み込み、徐々に硬くなってきている陰茎を力強く吸い上げて頬張ると、抑えきれない声と涙が零れ出す。
涙の匂い。
それでも尚薫る、優しくて強い匂い。
俺はこの匂いが一等大好きだと思っていたけど、今は更に心を締め付けられるほどの匂いが胸を焦がす。
羞じらいながらも快楽に溺れそうになっているこの匂い。
こんな匂いを吸い込ませて、善逸は一体俺をどうしたいというのだろう。

「…まっ…、だから…、そんな、しなくて、良いっ…、て…!」
「無理しなくて良いんだろう?だから我慢せず、こうしてやりたいと願っていたことを実現しようとしているんだ」
「な…、ひゃんっ…!」
夢想するたび貫いていたその蕾へと手を伸ばす。
今日のこれは妄想ではなく現実だ。
そのことが俺の体を震わせる。

持ち歩いている軟膏を取り出し、たっぷりと指に掬い取る。
それを孔の周囲に塗り込めるようにして広げ、くにくにと指でなぞっていく。
つぷりつぷりと指の先が飲み込まれていき、その度に善逸の匂いと嬌声が強さを増す。

衣服を取られ、こんなにも足を広げさせられ、脆弱な部分を嬲られる。
それなのに善逸の体は確かにその中からも快楽を拾い上げ、こうして可愛く鳴いている。

口でしゃぶられ、固い蕾に指を立てられ、ぽろぽろと涙を零す。
それでも善逸はやっぱり駄目だとかもう嫌だとか、そういう言葉を口にしない。

…途中で逃げると思っていた。
自分がこの欲を打ち明けて、優しい彼が体を開いてくれる妄想は何度もしてきた。
その度に彼は自分に懇願するのだ。
『やっぱり無理、炭治郎お願いだからもうやめて』
『やだ。嫌い。炭治郎なんか大嫌いだ』
妄想の中の優しい善逸ですらそう言うのだ。
それを無理矢理組み敷き、押さえつけては体を暴く。
そんな妄想ばかりしていた。
『やめて。お願い。もう無理』
だから、今日は。
妄想ではない、現実の善逸がそう泣いたら、そこから先は諦めよう。
そう思っていた。
なのに。
無骨な指を挿し込められて、柔らかな内壁を擦られて、それでも善逸は嫌だとも止めろとも言わない。

「ゃっ、ゃあ、出る…!出ちゃうから…!たんじろ、離して、くち、出る、出ちゃうっ…!」
熱に浮かされたようにそう言いながら、善逸が俺の頭を押していく。
それで口を離せば、扱いていた俺の手の中に善逸が白濁を吐き出した。
その精を自身の屹立へと塗り込めて、引き抜いた指の代わりに後孔へとあてがっていく。

「…善逸、…良いのか…?本当に、抱いてしまうぞ…?」
「…ぃて…、抱いて、炭治郎…」
大粒の涙を零しながらそう言われて、もう俺の理性は引き裂かれて消えていった。

「…善逸っ…!」
名前を叫びながら、ぐにょりと押し込む。
達したばかりの善逸自身を握り込み、扱くように刺激する。
それで僅かばかりに力の緩むその蕾を、己の屹立でこじ開けていく。
拒むように窄むきつい孔に、それでもぐちりと陰茎を挿し込んでいく。
亀頭をぐちゅりと飲み込ませ、あとはくちくちと押し込める。
ぐちゅりとうねる内壁が、温かく俺の屹立を食んでいく。
時間を掛けてぬちゅりと全てを飲み込ませれば、善逸が苦しそうに息を飲んだ。

「…きつく、ないか…?」
揺さぶりたい欲を押さえながらそう問えば、ふるふると頭を振る。
そんな筈はないのに、「…すごくいいから、動いて…!」なんて台詞を泣きながら紡ぐ。
辛そうな匂い。
苦しそうな匂い。
それに俺が気付かないと思っているのか。
それとも善逸自身が、その辛さや苦しさを自覚していないのか。
その健気な姿を見て、それでも俺の屹立が善逸の中で一層膨張しその体積を増していく。
「…っ…!っ、く、ぅんっ…!」
ぷるぷると震える腕が、俺の背中へと回される。
抱きしめられるかのような体勢に、劣情が煽られる。
背中に回した左腕を胸元へと這わす。
右手の平で善逸の陰茎を刺激する。
指先で乳首をまさぐり、くちくちと先端に指を挿し込み、深い口付けを交わしながらゆるりと腰を蠢かす。

ゆるりゆるりと動く度、善逸の喉から声が漏れる。
その声を残らず飲み込んでしまいたい。
それでより深く舌を絡ませ、じゅくりじゅくりと吸い上げた。

ゆるい律動は、徐々に力を増していく。
ゆさゆさと揺すぶる度、壮絶な快感が背中を駆ける。
陰茎を浅く抜き差しし、柔らかな肉襞を擦っていく。
次第に深く抽挿を繰り返し、何度も何度も揺さぶった。

善逸の指が俺の背中の肌を掻く。
短く切りそろえられているその爪は、俺の肌に淫らな痕を残してはくれない。
それを残念に思いながらも抽挿を続ける。

達しているのかいないのか、それすらも分からないほど長い時間、俺はそうして善逸の腰を揺さぶり続けた。
ようやく引き抜けば、善逸の肌からどろりとした欲の匂いが立ち上る。
それは他ならぬ俺の精の匂いであったけれども、それが善逸の匂いと混じると、馥郁たる香りになることを初めて知った。

頬を赤らめはぁはぁと短い呼吸を繰り返している善逸の肌を撫でる。
しっとりとした肌が俺の手のひらに吸い付くようにして離さない。
瞼に、頬に、額に、鼻に、耳に、唇に。
何度も何度も唇を押し当てた。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ