鬼滅の刃

□泣かされ善逸と泣かせた長男
4ページ/4ページ





「…ちょ、待て!!なんだ今の音は!?」
「恋の音だ。先ほどからそう言っている。…もっと聞いて欲しい。善逸」
良く聞こえるように、善逸の体を抱きしめる。
俺の胸の辺りに善逸の耳が来るように。
聞いて欲しい。
俺の音を、もっともっと。

「…ひ…、開き直ったなお前!?さっきまで泣いて謝って来てたじゃねぇか!」
「覚えてるのか?…俺が泣いていたのは、善逸が寝ている間だったと思うが」
「…寝ているときでも音を拾うんだよ俺は。…知ってるだろ」
拗ねたようにそういう顔が朱に染まっているのを嬉しく感じてしまう。
「好きだ。愛している。…今の俺から聞こえているのも、恋の音だぞ善逸」
抱きしめたまま頬に唇を合わせる。


「…ちょ、おま、…手!手が!早い!!」
もぞもぞと揺れる体を抱く手に一層力を込める。
「寂しくてたまらなかった」
善逸の額に自身の額をこつんと合わせる。
「…俺が至らないせいで、傷つけてしまった。…すまなかった…」
甘い匂いが鼻腔をくすぐる。
その甘さに誘われるかのように、薄くて形の良い唇に、俺の唇を押し当てる。
「…好きだ。愛している。善逸のことだけを、ずっと」

「な…、おま、今…」
耳まで真っ赤に染めながら、口をぱくぱくさせている。
「好きだ。…そろそろ、伝わっているだろうか」
琥珀の瞳を正面から見つめる。

むぅぅ、と善逸が唇を引き結ぶ。
両手で耳を塞ぎながら唇を尖らせる。

「…耳元で喋るな!…炭治郎の声は響くんだよ。とんでもねぇな炭治郎は…」
「…今の善逸からは嫌がっている匂いがしないのだが…。期待しても良いのか?俺は」
うぅ、と善逸が声を漏らす。

「…べ…、別に…、…炭治郎に触られるのは、…嫌じゃない、から…」
甘い匂いが濃くなってきたような気がした。

「そんなことを言われたら俺は期待して、もっと善逸に触れたくなってしまう。…もっと奥まで、全部…触れたくなってしまう」
「…べ…、別にいいよ?」
「そんなことを言うな。…これ以上俺を煽るのは控えて欲しい。…我慢できなくなるから」
そっと耳朶を食む。
真っ赤になったそこは、少し熱を帯びている。
はわわと身じろぎはするが、それでも善逸は俺を振りほどこうとはしない。

「…だから良いんだって。俺はさぁ、もう炭治郎といられないと思って本当に寂しかったんだよ。お前の邪魔になったらいけないって、そればかり考えてた」
寂しそうな匂いがかすかに漂う。

「あんな風に言われるよりも、炭治郎が好きなように触って、こんな風に優しい音を聞かせてくれる方が幸せなんだよなぁ」
ことんと俺の肩に頭を置く。
ふわふわとたゆたう甘い匂いが俺の官能を刺激する。

「…俺は善逸が好きだ。…善逸は、俺のことをどう思っているか聞かせて欲しい」
「…馬鹿…。…俺も好きだよ。ずっと」
俺の肩に頭を預けたまま、おずおずと俺の背中に手を這わせる。
「…絶対、俺の方が最初から好きだったんだからな…。お前の音、一度聞いたら忘れられないの…。知らないだろうけどさ」
「…そんなことを言われたら俺は善逸に触れたくて我慢出来なくなってしまうぞ」
背中を撫でる。
「…えぇと…、触るだけ…なんだよな?」
「あぁ。…とりあえずはな」

「待て待て。その音ちょっと怖いから一旦落ち着こう?」
どんな音が聞こえたのか、善逸が俺から離れて怯む。
「もう待てない。…今日は触るだけで良いから」
「今日は?!今日はってなに?!」
「とりあえず、今日の所は、という意味だ」
「意味ぃ!今聞いてるのそこじゃねぇぇ!!」

「…あまり底抜けに優しいのも考えものだぞ、善逸。…俺みたいに、付け込む奴があらわれる」
「お、お前以外にそんな奴がいるわけ無いだろ…」
「…いたら許さない。頼むから、俺以外にこんなふうに触らせたりしないでくれ」
頬を撫で、背中をくるみこみ、何度も何度も唇を啄む。

「いや意味がわからんよ。俺が誘われたら誰とでもこんなことするとか思ってんの炭治郎は」
「…思ってはない。俺だけが善逸の恋人だろう?…だが善逸は優しいから心配になる」
「いや優しくもないわ。今も俺の体に触るだけでこんな音になってるお前見て、頭おかしいんじゃないのかって思ってるぞ」

「…そうだな…。俺は善逸のことになるとおかしくなる」
「…今度からはさぁ。あんな風になる前に合図をくれよ合図合図合図。言いたいこと溜め込んで我慢したりせずにさぁ。合図大事だからね合図」
合図合図と連呼する尖らされた唇をそっと啄む。
そのまま舌を挿し入れ、柔らかな口内へと侵入する。

くちゅくちゅと舌を絡ませ吸い付いて、互いの吐息を絡め合う。
はぁ、と甘い息を吐くその下唇を軽く甘噛みしてそっと離れる。

「…わかった。これからは素直に触りたい、口づけをしたい、抱きたいと頭を下げて頼もう」
甘い匂いに酔いそうだ。僅かに頭を振る。

「いやいや、なんか増えてるよ?!炭治郎なにしらっとした顔でとんでもないこと足してくれちゃってるの?!」
「我慢せずに言えと言ったのは善逸だろう。俺はずっと善逸に触れたかったし、出来れば体を繋げて俺の欲をすべて受け止めて欲しいと思っている」

「…それって、一度したら満足するのか…?」
「出来るわけないだろう」
呆れた顔で即答する。

「善逸に少し触れるだけで俺がどうなっているのか、まだ理解が足りていないのか?」
善逸の太腿に俺の足を絡ませる。
すでに反応しているそこへと導き、善逸の足に押しつける。
「わわわ!?」
驚いたようにすくむ体を布団の上に押し倒して縫い付ける。
寝間着をずらし、柔らかな首筋に強く吸い付いていく。
かすかに歯を立て、その白い肌に鬱血を刻み込む。

「っ、んっ…!」
「…そういうところだぞ、善逸。そんな甘い声で甘い匂いをさせたりするものだから、俺はちっとも我慢が出来ないようになってしまった」
「…なんで炭治郎が開き直ってんの?!さっきまでさぁ、ごめんごめんって泣いてたじゃない?!俺はそれにほだされて、こんなところでこんなことされるの我慢してるのになんだよそれえぇ!」

「すまない。…出来ればこの寝間着も脱がせて、もう少し触れても良いだろうか」
剥き出しになってしまった太腿をやんわり撫でさすり、形の良い尻を握り込むと、刹那ぶるりと体を揺らす。
「…いちいち…、聞くなって!」
「聞かないと怒るだろう?」
「さ、…触るだけなら…、最後までしないなら…、もぉ炭治郎の好きにして良いからぁっ…!!」
綺麗な涙が頬を伝う。
お許しが出たのを良いことに、寝間着の帯を引く。
はらりとはだける邪魔な布を取り払い、白い肌に手を這わす。
自分の体からも邪魔な衣服を剥ぎ取っていく。
肌を合わせて撫でさする。
俺には善逸ほど音が聞こえるわけではないが、それでも善逸の心臓がどくどくと激しく脈打っていることは伝わった。

胸元に這わせた手を、そっと滑らせていく。
甘い匂いに誘われるように、そっと舌を這わせる。
甘い匂いと甘い味に、脳髄の奥深くまでが痺れたようにきゅんとする。

「…最後までは…、駄目か?」
手を握り、その甲に口づける。
「俺の心臓を口からまろび出させたいの?!接吻だってさっきが初めてなのに、いきなりそんなのしたら俺が死んでしまうわ!」
「俺も先刻のが初めての接吻だぞ」
むん、と、胸を張る。

「お前は良いよ?!俺のことずっと、す、す、…、そういう目で見てたんだろ?!」
「あぁ。ずっとずっと大好きだ、善逸」
「そういうところな?!なんで真顔で言えちゃうの?!」
ぼろぼろと涙をこぼす。

「まだ最後までしてないのに、そんなに泣かなくても良いだろう。ここにいるのが俺だけだから良かったものの、善逸がこんなにも淫らに泣いているところを見ると情欲に誘われる。他の人の前では控えて欲しい」
「お前以外に誘われるやつなんていねぇわ。脱がしたのもお前だわ。俺のせいみたいに言ってんじゃないよお前」
「だからなるべく早く覚悟を決めてほしい。…善逸に関して俺の我慢はあまりきかないらしいことがわかったから」

「…ま、まだ…、駄目だからな…」
「わかった。…明日の夜はどうだろうか」
「な、何なのお前?!か、仮にも、こ、…恋人にさぁ、そんな気楽に明日命日迎えろみたいなこと言う?!」
「恋人だと思ってくれているんだな」
顔がほころぶ。
「炭治郎が言ったんだろ?!俺はなぁ、ものすごくこういうのに弱いんだぜ?!一回惚れたらしつこいからな!?炭治郎がいらなくなっても、すぐには離れてやらないからな?!」
「問題ない。俺が善逸をいらないなどと思うような日は来ない。未来永劫、ずっと来ない。善逸にこうして触れてよいのも俺だけだ」
「…その言葉忘れるなよ。俺はこれ以上付き合ってきた人数更新する気はないからな」
ぷくりと頬を膨らませている。

「…善逸は本当に俺を煽るのがうまいな。俺がどれだけ善逸に惚れていて、善逸に触れてきた奴らに嫉妬しているか、まだ思い知ってはくれないのか?」
「なんだよぉその音!無茶苦茶怖いんですけど?!」
「過去の女の話をして、俺を煽ったのは善逸だろう?」
「…話をしてもしなくても、手も握っちゃいねぇわ!…お前だけだよ。こんな色々されちゃってさぁ。…その上…だ、抱きたいとか…、頭おかしいだろお前…」

「そうだな…。俺は善逸のことになると、おかしくなってばかりだ…」
胸元に這わせていた舌で、そっと乳首を押しつぶす。
そのままべろりと舐めてから、じゅるりと強く吸い付いていく。

「…んっ…、ゃ、ゃぁっ…」
善逸の手が俺の肩を掴む。

「…本当に善逸は、俺を煽るのがうまいな」
「な、…俺は何もしてないだろうが…!」
「…歯を食いしばらないで、声を聞かせて欲しい」
乳首をぎゅむっと摘まむ。

「お…、男の喘ぎ声なんか聞いて楽しいのかよっ…!」
「善逸に触れて、匂いを嗅いで、…それだけで、俺はもうこんなだぞ?」
善逸の手を俺のそれに誘導する。
触れた瞬間びくっと跳ねて、顔を真っ赤に染めている。
「声を聞きたい。今も善逸の匂いだけで酔いそうだ」

「…もう本当に…、お前…、…」
羞恥の匂いが色濃く香ると思った刹那、恐怖の匂いが鼻をくすぐる。

「…待て。ちょっと待てお前。…え?…最後までって…、え、…これ?これを俺に挿れる気なのかお前?!」
怯えた顔で、完全に反応しているそれを見つめる。
「無理無理無理無理死んでしまうわ!俺が死ぬ!そんなの絶対に無理無理無理!!」

「…諦めないのが善逸の信条だろう…?大丈夫。…解せば入るはずだから。…俺が全部するから」
「解すって…。いやだからそれが無理だって言ってんの!分かれよ!」
「丹念に解せば入るから大丈夫だ。…善逸のことを自覚してから、そういう知識についても詳しくなったんだ」
「おかしいでしょ!?いやおかしいから!入るわけないからぁぁぁ!!」
裸のまま泣き喚く体を四肢で縫い止め、その唇を貪るように舌を絡める。
強く吸うと力が抜ける。
首筋を吸われるのにも弱いようだ。

…善逸の体のすべてを知り尽くしたい。
そのすべてに、俺の匂いを刻み込みたい…。


「…だから…!音っ…!怖いんだよぉばかぁ…」
「好きだ。愛している。…善逸の全てを、暴かせてくれ…」
「ば…ばか…たんじろぉ…」
蕩けるような声を聞きながら、もう何度目になるかも分からない口づけを深く深く交わし合った。


次の章へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ