鬼滅の刃

□だって善逸は教えてくれない
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「俺よりも?そいつは俺よりも善逸のことを愛しているのか?善逸の良いところを理解して、善逸のことを想ってくれているのか?」
「だから知らないってば。…ただ勝手に、俺が好きになっちゃっただけだよ」
俺の手を振り払おうとしてくるから、その手を更に握りしめる。

「善逸はそいつのことが好きなのか」
「…そうだよ」
「そいつの何処が好きなんだ」
「…優しい、ところ…かなぁ」
嘘の匂いがしない。
そのことが俺の胸を締め付ける。

「なら何故そいつは今、善逸の傍にいないんだ?善逸が寂しがり屋で泣き虫で、1人じゃなかなか寝付けないことだって、知らないわけでもないんだろう?」
「…俺が勝手に想ってるだけだよ。…向こうには何の責任もないんだって」
ゆっくりと頭を振る。

「そいつのところへ行くのか?行きたいのか?…行くのなら、もっと早く行っていたんじゃないのか。蝶屋敷ではなく、そいつの元へ。…そうしなかったのには、理由があるんじゃないのか」
「だから…、俺の勝手な片想いだって言ってるだろ…」
善逸から漂う哀しみの匂いが鼻を揺さぶる。

「俺にしてくれ。俺の音がいっとう好きだと、そう言ってくれただろう。俺の音を聞いているとよく眠れると、そう」
手を握ったまま善逸に縋り付くと、善逸の体が揺らぐ。

「俺ならずっと傍にいることが出来る。…任務の時は仕方が無いが、それ以外の時はいつだって俺の音を聞いて眠ってくれたらそれで良い。善逸がぐっすり眠っている顔を見るのも愛おしくて堪らないんだ」
揺らいだ体をそのまま畳の上へと押し倒す。
その手を握ったまま善逸の頭の両脇に肘を突いて、それでも言葉が止まらない。

「禰豆子だって、善逸の姿が見えないと寂しがるぞ。俺は善逸が傍にいてくれなければ壊れてしまう。他の誰かの元へいる善逸の姿を想像することすら出来ないんだ」
両手で握っていた善逸の手をまとめ、片手で押さえつけていく。

「俺にしてくれ。俺を選んでくれ善逸」
空いた片手で頬を撫でる。
そのまま唇を重ねていく。

「っ…!?」
漏れ出る言葉さえも吸い尽くそうと舌を絡める。
ここまで言ってしまえば、この手を離せば、きっと逃げられてしまう。
その不安が胸の中で肥大する。
逃がさない。…善逸のすべてを手に入れて、囲い込みたい。

「どうしても駄目なら抵抗してくれ。俺が二度と不埒な真似が出来ないよう、蹴り飛ばしてくれ」
「そんなのっ…」
「善逸なら出来るだろう?抵抗しないのなら俺もやめない。他の誰かに善逸のことを譲る気など毛頭無いからな」
掃除の前に羽織だけは衣紋掛けに掛けておいたらしく、視界の端に見慣れた黄色が映る。
あの羽織は善逸の大切なものだ。
…汚すわけにはいかない。
善逸の両手をまとめたまま、片手で隊服の釦を外す。

「…待てよ…、お前、…何、するつもり…」
「添い遂げたいと言っただろう?その証を刻み込ませてくれ。…こうでもしなければ、善逸は俺から逃げてしまうだろう?」
「…俺だよ?いくら炭治郎が物好きでも、それとこれとは違うでしょうがっ…!」
身を捩る体から無理矢理隊服を引き抜く。

「違わない。愛していると言っただろう。善逸の心根だけじゃなく、体も全て欲しいんだ」
引き抜いた上着を放り、シャツの釦に手を掛ける。
そのシャツをはだけさせ、白い胸を露わにする。
初めて見たわけでもないのに、風呂でだって何度も見て来たのに、その滑らかな稜線に思わず息を飲む。

「…あぁそう。出来るもんならどうぞ。固いし柔らかくもないし、お前が何を勘違いしてるのか知らんけどさぁ」
安堵した匂いと、僅かに俺を侮る匂い。
そして切なさを感じさせる匂いを纏って、善逸が俺の方さえ見ることなしに言い放つ。
俺が見せた反応を、悲観的な思考回路の善逸が一体どう捉えたのか。
正確に俺の情火の音を聞き取っていれば、絶対に言わないであろう言葉。
それを口にしてしまった善逸の姿に、思わず口の端が上がる。

「善逸…。そうやってすぐに自分を明け渡そうとする癖は今度から改めて貰うぞ。今の俺がどういう状況なのかわからないのか?本当に?」
「…ぇ…」
「『どうぞ』と言ったな。余すところなく受け取らせて貰う。もちろん返品はしないし一生涯俺のものだ」
「…ぁ…」
組み敷いている善逸の顔から一気に血の気が引いていく。

善逸の隊服のベルトに手を掛ける。
態と音を立てがちゃがちゃと外していると、強がっていた顔からも表情が失せる。
するりと膝の辺りまで下ろすと、綺麗に鍛えられた太腿が剥き出しとなる。
その内腿の辺りに手を這わす。
怯えたような琥珀と目が合い、笑んで返すと息を飲む。

「もう逃がしてはやれないぞ。だから覚悟をしてくれ。…絶対に大事にする。俺との未来について真剣に考えて貰うぞ、善逸」
ベルトを外したズボンをその足から引き抜くと、善逸の胸が上下する。
ズボンを脱がされシャツ一枚の体にされてようやく事態を飲み込めたのか、片肘を立てて後ろへ下がろうとする。
その手を掴んで引き寄せ、シャツの上から体をなぞる。
己の体の下で怯えたようにふるふると震える白い体。
それを上から下まで眺めながら舌で唇を濡らす。

ー…美味しそうだ。

ごくりと唾を飲み込むと、肌を粟立たせて震える瞳で善逸が俺を見上げている。
ようやく目が合った。
そのことが嬉しくてくつりと笑う。

「…なに、見てるの…」
震えた声までもが耳に心地良く響く。

「良い眺めだなと、そう思って」
そう言うと、羞恥の匂いをさせながらシャツの前を合わせ裾を下に引く。
そのため、シャツ越しに透けて見える肌がより一層強調されてしまい、俺の下腹がずくりと疼いていく。

「あぁ、そうだな。…先に全部、俺が脱ぐのが礼儀だろうな」
見せ付けるように自身の羽織を脱ぎ捨てる。
太腿を跨ぐように腰掛けたまま、上着を脱ぎ捨て、シャツを脱ぎ捨て、ズボンのベルトを緩めていく。

「…冗談、でしょ…」
かたかたと震えている頬を撫でる。
「俺は本気だ。…これから善逸自身のこの体と心で、そのことを理解して貰う」
ズボンを脱ぎ捨て、下履きを取り払う。
屹ち上がり始めているそれを見て、善逸が目を逸らす。

緊張と羞じらいと恐怖の匂い。
…嫌悪の匂いを感じないことに安堵する。
元より怖がらせないように抱けるとなどとは思ってもいない。
例えこれが両想いで合意の上での行為であったとしても、善逸は怯えるだろうと分かっているのだ。

そもそも受け身を取らせてしまうことには申し訳なく思うところがある。
だが善逸に自身の体を差し出したところで、受け取られることなくあっさりと逃げられて終わりだ。

なら、自分が善逸のこの体に楔を穿ち繋ぎ止めるしかない。
自明の理だった。

シャツの裾を握る手が白くなっている。
それを見つめながらそのシャツに手を伸ばす。
見たい。全部。
善逸の体の全てを、自身の体で覚え込みたい。
善逸の体にもまた、俺の体の全てを覚えて貰いたい。

どんどん欲が深くなっていることを自覚する。
怯えたように見上げる瞳から涙が一筋零れ出す。
それを綺麗だと思いながらも嬲る手は止まらない。
もとより止める気など欠片も無い。

強張っている腕から半ば無理矢理シャツを引き抜き下履きに手を掛ける。
震えているだけの善逸は固まっていて抵抗など出来る状態ではなさそうだ。

「…や、やめろよ炭治郎…、たいしたもんじゃねぇだろが…。お前と同じ、男の体だぞ…。固いし、柔らかくもないし、濡れないし、つまらんもんだろ。…そんなの見たって、何も良いことねぇぞ。萎えるだけに決まってるじゃないかっ…」

寄る辺のない琥珀が涙に濡れる。
ゆらゆらと頼りなげに揺れている目線が、不安そうに俺を見上げる。

…これは危ない。
俺が長男だから良かったようなものの、他の奴相手にこんな顔を見せるのは絶対に駄目だ。

「俺が一人でするときはいつだって、善逸のことを思い浮かべているぞ。風呂で見た体や、着替えるときに見た体のことを思い出している。…なのにどうして、見たら萎えるなんて思うんだ?」
熱を帯びているそれを、善逸の太腿に擦りつける。
震える体から緩ませていた下履きを取り払う。
羞恥に染まった体を隠そうとする手を取り押さえその手首を握り、体の両側に押さえつける。
善逸の喉からひっという短い悲鳴が上がり、その指先が何もない宙を掻く。

「どうしてだ?何度も一緒に風呂に入った仲じゃないか。見せたくないのか?ただ恥ずかしいからなのか?それとも、…他に…。見せたい相手でもいるのか…?」
自分でも驚くほどに冷たい声が漏れる。
善逸の怯えが激しくなってくるのには気付いていたが、それを思いやれる余裕などすでに残されてはいなかった。

「濡れれば良いのか?…そうだな。俺も善逸を傷つけたいわけじゃないからな」
善逸を跨いだまま枕元の荷を漁り、目当てのものを手繰り寄せる。

「…たん、じ…」
血の気が引いていく頬を撫でる。

「我慢できないと、そう言っただろう?…今日はどうしても善逸の全てを貰いたくて、耐えられそうにないんだ…」
欲望を吐露すると、善逸の瞳が大きく見開かれていく。

何かを言おうとするかのようにはくりと開かれた唇を己の唇で塞ぐ。
合わせた唇の隙間から舌を捻り込み、温かい口内の熱を味わっていく。
柔らかくぬめる舌。
頬の内側の柔らかい部分を舐めると、善逸の体がびくりと震える。

ー…嫌ならこの歯で噛めば良いのに。俺の舌を噛んで、噛み切って。そうすれば逃れることが出来るのに。

だが善逸はそれをしない。
しないのなら俺にとってこの行為は合意だ。
一方的にそう決めつけて、吸い上げた舌を強く啜る。
擦れ合う肌が熱い。
手のひらを這わせ、胸元を弄る。
指先に触れたその突起をぎゅうっと押し潰す。
親指と人差し指で挟み込み、くりくりと捏ね回す。
むずかる子どものようにいやいやと頭を揺らそうとしているが、唇を俺に押さえられているのでそれすらもままならない。

乳首を捏ねくり回し、きゅうっと引っ張る。
思っていた以上に柔らかく伸びる感触に、俺の背筋がぞくりと震える。

合わせた唇から溢れそうになっている2人分の唾液を吸い上げて飲み込むと、善逸の唇から甘い吐息が漏れていく。
善逸の顎を伝っていく唾液の痕までもが艶めかしい。

濡れた唇を離すと、善逸の唇からはため息のような音が漏れていく。
その声の甘さに頭の中が蕩かされていくのがわかった。
嬲っていた乳首をちゅうぅっと吸うと、驚いたように善逸が俺の腕に手を掛ける。
逆にその手を握りこみ、俺の胸へと当てていく。

「…俺の音だけ、聞こえているんだろう?もっと聞いていてくれ。お前に焦がれる男の音だ」
耳元で囁くようにそう言って耳朶を食む。
じゅくりと吸い付き唾液を絡ませた舌を捻り込むと、「…ぁっ…」という声が漏れていく。

善逸には分かっているのだろうか。
その声。この熱。部屋中に満ちる甘い匂い。
全身で俺の情欲を煽るだけ煽り立て、無傷で終わるだなんてあるはずもない。

俺の唾液に濡れすぼる乳首を摘まみ、くにゅくにゅと潰す。
先刻とは反対側の乳首を舌先だけでつんつんと刺激し、乳首の先端だけをちろちろと舐める。
もどかしい刺激に震えるそこを、今度はべろりと舌で舐め取り、強く吸い上げる。
吸い上げるながら片側の乳首をぎゅうっと摘まむと、善逸から快楽の匂いが上がる。

…胸で感じるのか。
そのことに昏い喜びを感じ、自身の熱が更に上がっていくのを理解する。

…欲しい。
…善逸の全てが。

甘い肌から唇が離せない。
脇腹の辺りを舐めて吸い付くと赤い痕が綺麗に残る。
それが更に己の下腹部に鈍い衝動を追加する。

飢えた獣のように赤い痣を刻み込み続ける。
胸に。腰に。白い足に。

「…俺は善逸のことを愛しているし、泣かせたりなんかしない。約束する。だから俺を選んで欲しいんだ」
足の付け根に吸い付くと、善逸の体がびくんと跳ねる。

「善逸にはずっと俺だけを見ていて欲しい。俺のことを、俺と同じだけ好きになって欲しい」
善逸の陰茎を握り擦りながら、足を開かせ太腿に吸い付き続ける。
ゆるく屹ちあがりかけたそれを頬に押し当てるように擦っていけば、善逸の眦から零れ落ちていく涙の匂いが鼻に届いた。

善逸の全身から薫る情欲の匂いが俺の獣の部分を刺激し続ける。
まるで嬲られているのは俺の方だというように、煽られ続けた劣情が辛い辛いと喚きながら零れ出していく。

手のひらの中で握り込んでいた陰茎に舌を這わせると、善逸の体が震える。
口に含んでしゃぶっていくと、俺の口から溢れる唾液が零れ出す。
その唾液を手のひらに流し、置いておいた軟膏と混ぜ合わす。
手のひらの熱でどろりと蕩けていくそれを指に絡め、目の前に晒されているその柔らかそうな孔の周りを擽っていく。

「…ゃ、ゃだぁ…、やめっ…!たんっ…!」
濡れた指を1本埋めると、善逸の喉から声にならない悲鳴が迸る。
その場所の温かさに誘われるように、指を更に1本増やしていく。

「…ぃっ…!あぁぁぁぁっ…!ゃ、ゃぁああっ…!」
口の中のそれをしゃぶり上げ吸い付き歯先で軽く先端を抉る。
善逸の唇から零れる甘い声が俺の淫欲を煽り立てる。

俺の口から溢れ続ける唾液を手のひらへと出し続け、合わせた軟膏を善逸の陰茎にも塗りたくる。
ぐちゅぐちゅと音を立て始めたそこが、更に情痴の匂いで俺を誘う。

「…ゃだああぁっ…!」
普段より高い声。甘くて蕩けそうな声。
じゅぷじゅぷとぬめる孔に、更に指を突き立てる。

じゅくぅっと吸い上げると、口の中で善逸のそれが白い飛沫を迸らせる。
「ぁっ…!…あぁぁゃあああぁっ…!」
鼻腔いっぱいに広がるその匂いと蕩けた声が、俺の中に残っていた最後の理性を吹き飛ばした。

口の中の蜜を吐き出し、俺自身の陰茎に塗り込める。
飴玉をしゃぶるように陰嚢に吸い付けば、善逸の腰が淫らに揺れる。

大きく開かされた足。
俺の口吻と愛撫で痣だらけの肌。

指を挿し込んだままのそこが、飲み込みきれない潤滑をくぷぅっと零す。
赤く熟れ痙攣しているそこが、ぴくぴくと震え俺を誘う。

…もっと。もっと。
強請るようにほころんだその孔を挿した指で拡げると、柔らかそうに熟れた肉が俺を求めるかのようにひくついた。
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