結界師二次創作「兄さんと僕。その7」

□執着
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 「…おい…」

 俺の部屋のベッドの上。

 安眠を妨げられた兄さんがあげる不機嫌そうなその声。

 だけどやめない。とまらない。

 小さな躰を背後から抱きしめる。

 伸ばした腕で着物の裾を割る。

 下着の上をひと撫でしてから、柔らかな肌に吸い寄せられるかのようにその中へ手を滑らせる。

 ふよんとした柔らかな感触が我慢できない。

 まだまだやわやわとしたこれが、俺との情交で昂ってくれることを知っているのだから。



 「…しよう…?」

 耳を噛みながら囁きかける。

 「兄さんが可愛いから…。俺、我慢出来ない…」

 ちゅくちゅくと耳たぶを舐めしゃぶる。

 「…今夜は…、しない日だろ…」

 兄さんが後ろの俺に向かって腕を振り上げる。

 「無理だよ。我慢出来ない」

 華奢で細い足に俺の足を絡ませる。

 「…兄さんと同じベッドにいて…我慢なんて出来るわけない…」

 うなじの辺りに強く吸い付く。

 ちゅっちゅっと軽いキスを繰り返す。

 「…我慢出来ないってんなら、俺は自分の部屋で寝る。いいから離せ」

 「兄さんの部屋で…?いいね…俺もついていく…」

 「それじゃ意味ねぇだろ」

 ちっと舌打ちを響かせながら、兄さんが躰を身じろがせて俺の腕の中から這い出してしまう。

 「…お前はついてくるな、七郎」

 乱れた着物や下着を整えながら、紅い瞳で俺を睨む。

 「…もう無理だよ、ほら」

 逃げようとする腕を掴み、強引に俺の足の間を触らせる。

 「こんなままじゃ寝れないよ兄さん」

 拗ねた口調で唇を尖らせる。

 「…お前が勝手に腫らしてるんだろ。俺の知ったことじゃない」

 ぺしんと俺の腕をはたきながら、呆れたように兄さんがため息をもらす。

 「俺がこうなるのは全部兄さんのせいだよ?…兄さんは何もしなくていいから。ね?」

 「…断る」

 「兄さん我侭言わないで?」

 にこりと微笑みながら、細い腕を引き寄せる。

 「…我侭はお前だろ…」

 「そうかもしれないね」

 いそいそと裾をめくる。

 さっきはちっとも反応してはくれなかった。それがなんだか口惜しい。

 「兄さんが寝ていてくれたら、あとは全部俺がするから」

 「しねぇっつってんだろ」

 兄さんがいやいやと頭を揺らす。

 「駄々こねないで?」

 割った着物の裾から手のひらを滑らせる。

 温かな下着の中へと侵入していく。

 「…兄さん…好き…」

 ちゅくちゅくと首筋に紅い痕を刻み込む。

 「…相変わらず傲慢だな…なんでも自分の思い通りになるとでも思ってるんだろう…」

 諦めたような声色の兄さんが、それでも眉間にしわを寄せて俺を睨む。

 「俺の思い通りになんてならないよ…。それは兄さんが一番よく知っているでしょう?」

 白い肌に浮かぶまじないの痕をなぞる。

 「俺はいつだってあなたに振り回されてばかりだ…」

 胸元から手をいれる。

 吸い付くような肌の滑らかさが心地よい。

 まだまだかたくなに拒んでいる兄さんの躰をベッドの上に押し倒し、背中から抱きついていく。

 「ん…。兄さんいい匂い…」

 さらさらの髪に顔をうずめながらも、華奢な躰を嬲る手は留まらない。

 着物を剥ぎ取り下着を剥ぎ取る。

 隠すものを失った白い躰が部屋の灯りをかすかに弾く。

 「…馬鹿…」

 ため息とともに吐き出される罵声すらも心地いい。

 慌ただしく自身の衣服も脱ぎ去り放り投げ、産まれたままの姿で兄さんの躰を抱きしめる。

 後ろから回した手で、ぷくりとした乳首を押し潰す。

 ん、とかすかに甘い声をあげながら兄さんが顔をあげていく。

 「相変わらず胸が弱いよね、兄さんは…」

 指の腹でぷくんとつぶし、くにくにとこねていく。

 「…ん…、ほら兄さん…。これだけで俺、もう…」

 完全に反りかえっているそれを兄さんの腰に押し当てる。

 まだ慣らしていないから挿れることは出来ない。

 兄さんの躰をたかめて。そして慣らして。

 俺の欲望を吐き出すのはそのあとだ。
 

 その狂おしく官能的な瞬間に想いを馳せながら身悶える。

 この焦らされていく時間が何とも言えないほどに俺の心を興奮へと導いていく。



 薄い背中に舌を這わせながら徐々に刺激を与える。

 性急に慣らされることに兄さんは慣れていない。

 少し焦れったさを感じるくらい。

 それが、兄さんの躰を一番綺麗な桃色に染めていくのだ。

 剥き出しの肩をくわえて舌をちろちろと動かしていく。

 白くて小さな可愛い桃尻を揉み込んでいく。



 「…こんな躰に…毎回毎回、よくそこまで欲情出来るよな…」

 吐き捨てるようにそう言いながら、兄さんが俺を振り仰ぐ。

 「…頭おかしいんじゃないのか…」

 兄さんの躰をまさぐる俺の手をぺしんとはたく。

 「どうせ執着するんなら、もっとましな相手を選べ…」

 俺を睨む紅い瞳に背筋がぞくぞくと快感に震えていく。

 …たまらない。かすかに息を荒くしながら、色づく瞳で俺を誘う。

 その壮絶な色気に抗う方法を俺は知らない。

 指を濡らす。

 兄さんの躰の一番柔らかなところ。

 俺を飲み込み包み込んでくれる場所。

 その入り口をくちゅくちゅと撫でながら、指を一本ゆっくり突き刺していく。

 「…俺が欲しいのは兄さんだけ…」

 挿した指でぐりゅっと内部をかき回す。

 「…ゃめっ…」

 「やめない。兄さんが意地悪だから」

 兄さんの躰を仰向けに引き寄せて、その上に体を重ねる。

 もちろん指は挿しこんだまま。

 「俺が執着するのは兄さんだけ…。兄さんが意地悪だから、いつまで経っても俺は満たされないで飢えたままだ…」

 指を二本に増やしながら、薄い胸の小さな乳首にかりりと歯をたてる。

 「…あなたが俺を焦らすから。俺をこんなに振り回すから」

 ちゅくちゅくと音をたてて乳首を吸う。

 兄さんはこうされると感じてしまう。

 本人の思惑などを振りきって、躰が熱く反応してしまうのだ。

 「…こんなっ…」

 いやいやと俺の体を押し返そうとする腕をやんわりとはねのける。
 

 すでに白い躰には朱がのぼり、淫らがましい姿をあますところなく見せつけている。

 「…お前はそうやってなんでもっ…!思い通りになるとでも思ってんだろっ…!当主になったからっておごるんじゃねぇっ…」

 意地悪な唇を俺の唇で塞ぐ。

 舌を絡めて丹念に吸い上げる。

 二人分の唾液を飲み込んで、兄さんの喉がこくりと動く。

 その気配を感じてゆっくりと唇を離す。

 「…おごる?兄さんは相変わらず酷いなぁ…」

 もう一度濡らした指を、今度は三本まとめて突っ込んでいく。

 「…ぃっ…!」

 顔を歪めるその様子まで大胆にあだっぽく、俺の情欲をいくらにでも引き出していく。

 「…不安なんだよ。兄さんたら俺を振り回してばかりだから」

 ぬちゅぬちゅと後ろを慣らしながら、かすかに怯んだ前を優しく舌で撫でていく。

 「…ん…。甘くて美味しい…」

 そのままねっとりと口に含んで丁寧に舐めあげる。

 下から上に。

 横から上に。

 舌先でくすぐるように。

 舌先を捩りこむように。

 兄さんの両足を肩の上に抱えあげ、視界にうつる絶景を堪能していく。

 後ろがほぐれて柔らかくなるまで。

 だから性急に高めたりはしない。

 ゆるゆると高められて焦れていく兄さんの瞳ときたら。

 俺との情交でこんなに感じてくれるくせに、嫌だやめろを繰り返す。

 7つも年下の弟相手に足を開いて、その間をいくらにでも好きにさせているくせに。

 それで快楽を得てしまうことが、兄さんの気位を刺激するのだ。

 …溺れてしまえば、楽になるのに。



 くすりと微笑みながら、兄さんの躰を絶頂へと導いていく。

 押し殺された兄さんの声。

 くぐもったような声が出るのは、布団の端を噛んで必死に声を押さえているからだ。

 ぬちょんと指を引く。

 びくんと跳ねる躰がその指のあとを追う。

 口に含んだままの兄さんの昂りを、一気に吸い込み舌先で刺激する。

 「…んんぅーっ…」

 兄さんの背中が震える気配にあわせて口を離す。

 ぴしゃんと跳ねでる白濁が俺の頬を濡らす。

 なんだかんだといいながら、こうして毎晩いたしているから溜まる暇さえないはずだ。



 頬を拭いながら兄さんの足を持ち上げる。

 散々慣らしたそこに、俺の熱い屹立を押し当てる。

 「力抜いてて?」

 返事も待たずに、笑いながら一気に貫く。

 兄さんの唇が再び布団の端を噛む。

 漏れ聞こえるくぐもった嬌声だって、相当に色っぽいってことにこの人はいつ気が付くのだろう。

 「…あぁ…、やっぱりこうしていると安心する…」

 頬にかかるさらさらの髪の毛を払いながら頬を撫でる。

 「こうなってると、あなたは俺から逃げられない…」

 「…逃げたり…しないっつってるだろっ…」

 はぁはぁと荒い息を吐きながら、涙のにじむ瞳で俺を睨む。

 「それはどうかなぁ。…あなた、二回も俺を裏切っているから」

 まるで俺のそれがティスプーンであるかのように、くりりと兄さんの中をかき混ぜていく。

 「…まだ小さかった俺を置いて、家を出たとき…。そして、せっかく夜行まで迎えに行ったのに、俺を置いて家出をされたとき…」

 挿しこみ揺らしながら、華奢な躰を抱きしめる。

 「…兄さんの匂い。兄さんの温かさ…」

 ぺろぺろと頬を舐めていく。

 「…ああやって兄さんが逃げたりしたから…俺が不安になるんだよ」

 んっと吸い付く。

 「…もしまた兄さんに捨てられたりしちゃったら…。どうなっちゃうんだろうな、俺」

 ゆすゆすと兄さんの腰を揺さぶる。

 「こうしてずっと繋がってたら…兄さんはもう何処にも行けないよね…。俺の傍にいてくれるよね…」

 紅い瞳から透明な滴がこぼれる。

 オパールのようなそれをそっと舌ですくい取る。

 「…出来るのなら…このまま俺の腕の中にあなたをずっと閉じこめていたい…。誰にも見せたくはない…」

 ゆるゆると腰を回すたび、兄さんの顔が苦痛ではない何かに支配されていく。

 「七郎のことが好きだって言って…。俺だけだって…そう…」

 繋がったままそっと唇を重ねあわせる。

 「…帰ってこない兄さんを待つ間…その長い長い時間。俺はこうして自分をこの扇家という檻に閉じ込め続けた…」

 汗ばむ頬にかかる髪の毛をそっとはらう。

 「ずっとひとりだと思ってた…。でも…」

 蕩けそうな兄さんの顔。

 そろそろ限界だろうか。

 「…こうして…兄さんが自分から戻ってきてくれたから…だから…」
 

 俺の方もそろそろ限界。これ以上はもちそうにない。

 「…もう…逃がしてはあげられそうにない…。ずっとここで閉じこめ続けてあげる…俺の腕の中に、ずっと…」

 律動を早くする。

 小刻みに揺らし続け兄さんの躰と俺の体を蕩かしあう。

 「…愛してるよ、兄さん…」

 ずくんと突くと同時に兄さんが果てる。

 びくびくと跳ねる桃色の躰を抱きしめながら俺も果てていく。

 しっとりと汗ばむ小さな躰を胸の中で抱きしめて、ゆっくりと唇を重ねあわせていく…。





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