リリカルなのは×ロスカラ 改訂前
□四・五話 前編 男なら自分が言った言葉の責任を取りましょう
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ヴォルケンリッターの共犯者として闇の書の蒐集を行う事になった。
もしかしたらはやてを助けたいという気持ちは、過去に自分が犯した罪の意識を薄れさせるための大義名分なのかもしれない……
だからといってはやてを見捨てるつもりはない。たった一人の少女のために次元世界の人達に迷惑をかけることになるのも承知している。
全部終わったら裁きでもなんでも受けてやるさ。 魔法少女リリカルなのはA’S 銀月の王と夜天の主始まります。
四・五話 前編 男なら自分が言った言葉の責任を取りましょう
ライがヴォルケンリッターの蒐集について知らされた数日後。
ライの意識は浅いまどろみの中にあった。
それは、夢としては当たり前のことで起きたら消えてしまう儚い記憶の残滓。
なので上下左右、明暗、遠近のハッキリしないような不明瞭な世界でも納得するのに十分な理由。
だけど、その世界にはたった一つだけ僕の気を引く者が居た。
腰まで届きそうな長い絹の様な銀髪。
白磁を溶かしたように白い肌と、整った顔立ちやプロポーション。
これだけなら夢幻(ゆめまぼろし)が作り出した願望の投影とでも表現すれば納得できるほど幻想的な美貌を持った女性だ。
しかし、そのルビーのように紅い瞳が宿す陰鬱な感情のせいで妙なリアリティが生まれている。
こんな印象的な女性、一度出会えば二度と忘れることは無い。
出会った事は無いはずなのに、何故か懐かしさを覚えるその姿。
だからだろうか?意味が無いと分かっていてもその女性に僕が声をかけようと思ったのは。
『なんで、そんな悲しそうな目をしているんですか?』
足場もなければ上下左右の概念もない曖昧な空間に僕の声が響き渡る。
しかし、夢の中の女性はただ静かに首を振る。
次第にその女性の輪郭が周囲の空間に溶け込むかのように曖昧になっていく。
意識が覚醒に近づきつつある証拠なのだろうが、不意に何とも言えない焦燥感に心が包まれる。
(あの人を放っておいてはいけない)
『待って……貴女は……一体何な……か…』
必死に手を伸ばすも僕の意識はそこで途切れた。