リリカルなのは×ロスカラ 改訂前
□第四話 明かされる事実、そして……
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この世界でなら平和な時間を過ごせる
やっとそう実感してきたっていうのに、その淡い期待はあっさりと砕け散った
守護騎士達の隠している真実を僕はまだ知らないけど
それを知らされたとき、どうすればいい? 魔法少女リリカルなのはA’S 銀月の王と夜天の主始まります。
第四話 明かされる事実、そして……
あれから約数分。
なんとも複雑な心境ながらも、僕はリビングの前の廊下に正座している。この季節にフローリング張りの床というのは予想以上に辛い。
別にわざわざこの体勢で待たずともよいのだが、あのハプニングに対する微妙な気負いというかなんというか自分なりの弁解の意味も込めている。
というかあの傷の事が気になっていちいち細かい事に気が回らない状況だ、という方が正確だ。
ドアノブを回す音と共に、いつも通りの服に着替えたシグナムさんとヴィータが現れた。
こうして服を着ると二人とも傷の大半は見えなくなる。やはり今までずっと隠していたようだ。
「あの、怪我の具合は大丈夫なんですか?」
僕が開口一番にその問いを投げかけると二人とも一瞬意外そうな表情に変わる。
「何か変な事聞きましたか?」
「いや、ただ我らの傷について聞かれるとは思っていたが、まさか原因を聞くより先に身体の心配をされるとは思っていなくてな」
「あたしらは闇の書のプログラムだから傷の治りが早いんだよ、それにあの程度の傷なんて唾でも付けときゃすぐ直る」
「そうですか、それは良かった」
何より優先すべき事を聞いただけなんだが、そんなに変だったかな?
まあ、二人とも問題はなさそうなので一安心といったところか。
だが、あの傷の原因が気にならないかといえば嘘になる。
何らかの形で暴行を受けたのか?だとしたら何故?どこで?誰に?
思い当たるパターンが何十通りも脳内に浮かんでは消えるが、何しろ僕が持つ情報自体があまりに少なくそのどれもが推測の域を出ない。
「じゃあ早速、本題に移りますけど。あの『傷』は何なんです?
切り傷や打撲や火傷、確認出来るだけでも何種類もあったんです。階段で転んだとか言われても信じませんよ」
「やれやれ、あの少ない時間でそこまで観察していたとはな。なかなかの動体視力の持ち主じゃないか」
「茶化さないでください!」
「ああ、分かっている、お前にこれ以上の隠し事が出来ないというのはな。
まあ、なんだ、百聞は一見にしかずと言うしな。ヴィータ、頼む」
「へいへい、分かりましたよ。ったくこっちだって魔力はカツカツなのに無理させんなよ」
「すまないな、あとで私の分のアイスも食わせてやるから」
「よっしゃぁぁぁ!まかせろ!!」
「あの、何を?」
完全に会話から置いてけぼりにされたので僕が口を挟もうとした瞬間——
ヴィータを中心に“何か”が広がる。
それは三角のそれぞれの頂点に円が付いた記号、いや幾何学模様とでも表わすべきなのだろうか?
僕には理解のできない“ナニカ”、理解のできない何らかの法則と記号の組み合わせ。
僕が絶句している間にも徐々に幾何学模様が発している光は強くなる。そんな僕の肩にシグナムさんが手を置き囁く。
「よく見ておけ、ランペルージ。これが魔法という物だ」
『魔法』———言葉通りに捉えるならば魔の法、僕がこうしてここに居る原因となった要因の一つ。
その声に反応して僕がシグナムさんを振り返ろうとした時にはすでに視界は真っ白な光に覆い尽くされていた。
数秒、もしくは数分経っただろうか?
段々と視界が戻ってきた時、目の前に広がっている光景に僕はもう驚きを通り越して呆れさえも覚えた。
日本の12月、冬特有の肌を突き刺すような冷気などはなく、チリチリと肌を焦がすような熱気を感じるだけ。
足元に先ほどまでのフローリング張りの床は既になく、砂の粒子による不定形な地面(靴下しか履いていないので物凄く熱い)。
何より目に付くのは、空に浮かぶ惑星?、大気が薄いとか惑星の並びとかそれ以前に月より大きく見える時点でそれが地球上で起こりうる現象で無いのは明白だ。
そして、昨日の夕方に聞かされた魔法、次元世界、次元転移、これらのキーワードから導き出される答えは———