【改訳】聖剣伝説3(移転)

□第3話
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 新たな仲間を連れ、モンスターを倒しながら先を進むと、出口が明かりを差し込みながら見えてきた。洞窟を抜けると、ウェンデルはすぐそこである。
 獣人に占領されたジャドとは違い、聖都ウェンデルは平安としていた。静かな町中を歩いていくと、大きな建物があった。光の司祭がいる、光の神殿である。
 デュランとアンジェラが神殿に一歩足を踏み入れると、シャルロットだけが足を止めた。
「あたちはここで待ってるでち。勝手に神殿を抜け出したのが知れたら、きっとおじいちゃんに怒られるでち」
「……そうか。わかったよ」
 
 シャルロットが仲間から外れ、デュランとアンジェラは神殿の中に入っていった。
 道なりに進むと、一際大きな空間に出た。そこに神々しい女神像と一人の老人が立っている。
(あの方が光の司祭よ)
 フェアリーに言われ、デュランたちは司祭のもとに駆け寄った。
「あなたにもマナの女神の祝福があらんことを…」
 司祭が祈りを捧げたのも構わず、デュランは焦る気持ちを押さえられずに声を荒げた。
「光の司祭、俺は強くなりてぇんだ!どうやったらクラスチェンジ出来るか、教えやがれ!」
「……クラスチェンジは武術や肉体を鍛えるのみならず、自己の精神を高めることが必要じゃ。今のお主にはクラスチェンジはできまい…」
 驚きを隠せないデュランが反論しようと口を開けると、アンジェラの掌ていが左頬にクリーンヒット。彼は勢いよく横に飛ばされてしまった。
「光の司祭様、私、お母様に見捨てられてしまったの。魔法が全然使えなくて……。お願い、どうすれば魔法が使えるようになるか教えて!」
 すると、フェアリーが姿を現し、焦る二人を諫めた。
「待って、二人とも。まず私に話をさせて。…司祭様、私はマナの聖域から参りました。世界からマナが減少し、聖域のマナの樹が枯れ始めているのです」
「何と!大変じゃ!! マナの樹が枯れれば、マナストーンに封印されし神獣達が目覚め、世界は滅んでしまうぞ!」
「おい!二人で何の話してんだ?!」
 デュランの疑問に、司祭は呆れと驚きを併せたような顔で答えた。
「何を他人事みたいに言っておる。おぬしはフェアリーに選ばれし者、お主が聖域に行ってマナの剣を抜かねばならぬのじゃぞ!!」
「なんだよ、それ!そんなの聞いてねーぞ!どういうことだ、フェアリー!?」
「……ごめんなさい。マナの減少によって、私たちは聖域の外では誰かに取り憑いていないと死んでしまうのよ。あの時、あなたに逢っていなかったら、今頃私は……」
「はいはい。そりゃよかったね。じゃあもういいだろ? とっととそのジジイにでも取り憑いてくれ」
「それが出来れば苦労せんわい。フェアリーは一度宿主を選んでしまうと、その宿主が死ぬまで一生 離れることが出来んのじゃ!」
「そんなぁ!俺は嫌だぜ!俺にはそんな剣なんて必要ねぇからな!!」
「でも、これはデュランにとってもチャンスよ。マナの剣を抜くためにはマナストーンの近くにいる精霊の力を借りなきゃならないし、その途中でクラスチェンジが出来るかもしれないわ。そうすれば、紅蓮の魔導師にも勝てるだけの力を手に入れられるはずよ」
「あっ、てめ、俺の頭の中、勝手に覗きやがったな!……でもちょっと待てよ。その【マナの剣】ってなんなんだ?」
「マナの剣……、それは全ての精霊を司る古の力の象徴……」

 司祭は遠い目をしながら語り始めた。
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