正義の魔王と壊れた勇者
□始まり
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かつて、勇者と呼ばれた者が魔王を滅ぼした。
その後、勇者は傭兵として世界の各地の戦争に加わった。平和を守るために。
勇者のあまりの強さに人々は、魔王の再来などと呼び、恐れた。
そう呼ばれてから、勇者は壊れてしまった。
助けてくれと懇願する者に容赦せず、子供ですら容赦はしなかった。
降伏すると言った国の城をバラバラにし、その国の王を殺した。
そして、その国を恐怖で治め始めた。気迫で民を脅し、配下にした。手にした剣と勇者の名で残っている魔物を配下にした。
その勇者の国の魔物と人の軍団は、周りの国を瞬く間に侵略した。
そして巨大な王国となった。
その国は、『魔勇の国』と呼ばれた。
その国の王たる勇者は、魔勇王と呼ばれ、恐れられた。
魔勇王を倒すべく、立ち上がった者は、倒された魔王の子孫達であった。
倒された魔王の四人の子孫は出会い、手を組んだ。
一人は、寡黙な戦士。タシターン。
一人は、傲慢な魔女。ソルシエール。
一人は、残忍な鍛冶屋。クルーオル。
最後の一人は、勇気を持った剣士。カレジ。
この四人は、今まで恐れられていた。魔王の子孫として。
しかし、今は魔勇王に対抗することができる者として、信頼されるようになった。
四人は、意気揚々と魔勇の国への旅を進めていた。
この様子を見た魔勇王は、笑っていた。
この自分のように戦いが終われば、世界に絶望することになることだろうと思って笑ったのであった。