長編2 茜さす日暮れに
□第一話 逢―ウタ―
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どこからか唄が聞こえる。
それはとても澄んでいて、美しい。
なのに、どこか寂しさを覚える。
胸が痛くなる。
涙があふれる。
そんな唄。
――見つけて、早く見つけて・・・・・・!!
舞い散る花びら、一つの雫石
あの日の千歳の欠片
朱く燃える川に扉が開く
二つの雫と声
扉開かれる・・・・・・
彼岸花が一面に咲く河原で誰かが舞っている。
冷たくさす水を跳ね上げ、緋色の衣を翻している。
血の滲んだの掌にかざす鬼扇。
毒にさらされてもやめることを許されない。
黒い長髪と、紅い軌跡が弧を描く。
誰かに叫びを求めるかのように紡ぐ唇。
その涙に濡れた大きな琥珀の瞳と目が合った時、胸を鋭い痛みが差し世界が黒く塗りつぶされた。