短編
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古い屋敷の縁側、そこに二人の少年がいた。
「なぁ、ャ晃。何やってるの?」
傍らで機械のレバーを回している笠晃と呼ばれた三つ編みの少年に一つ結びの少年が尋ねる。
「んーと、カキ氷。紅、お前食べれるだろ?
」
がりがりと音を立てながら制作する笠晃に紅と呼ばれた少年は呆れる。
「まあ…。けど、俺は別に食べなくてもいいんだけど……」
神である彼は食べずとも生きてゆけるのだ。
そんな事は気にせずに出来上がった氷の皿を突き出す。
「出来た。どうぞ」
「……」
渋々、受け取り食べ始める紅。
「甘い…、冷たい…」
初めて食べる氷の冷たさと甘さに顔をしかめる。
そんな顔を見て笠晃は食べていた氷を吹きそうになる。
「お前、変な顔」
肩を震わせる笠晃を睥睨する。
「笠…怒るぞ」
その言葉が本気なのが漏れ出す闘気が物語る。
それを見てしまったという顔をした笠晃は「うわぁ、ごめん!」と謝った。
やれやれと闘気をおさめ再び氷を掬う手を動かし始めた時、小さな足音とその周りを漂う悪質な妖気を認めた。
「ん?どうした?」
スプーンを加えたまま尋ねる笠晃にかき氷を押し付けると、傍に置いてあった面をかぶり妖気の方へ走り出した。
「―――どうしたんだろ?」
押しつけられた氷と、見えなくなった背中を交互に見た笠晃は首をかしげた。