-Resurrection-
□風の向こうへ [後編]
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「改めて、よろしく!能力は勿論、ヒーロースーツもお揃い同士!」
「おっ……揃い……!?」
スカイハイは紫と銀、一方スワロウテイルは紫と白のカラーリングのスーツを身に付けている。
「紫の色味が違うんですけどね……」
お揃いという表現は、どうも納得出来ない。
「企業の枠を越えて、いつかコンビを組んでみたいね」
「……それは光栄ですけど、私達が組んだら強すぎて面白くないと思います」
不敵に笑みを浮かべると、スカイハイも笑声を零した。
「そうかな?明日、ワイルド君とバーナビー君に話してみるよ」
「お疲れ様」と続け、スカイハイは颯爽と飛び立つ。
「スワロウテイル&スカイハーーーーーーーーイ!!」
「ちょっ…………!」
唐突な掛け声、文句を言おうにもスカイハイは既に空の彼方にいる。
「……恥ずかしい人」
小さく溜め息をつくと、客船の鎮火を確認に行っていたブルーローズが戻ってきた。
「何、和解したの?」
「和解……うん。まぁ、そうかな」
ブルーローズは退屈そうに大きく伸びをし、すぐに踵を返した。
「なーんだ、やっぱり恋愛絡みじゃなかったんだ。つまんなーい」
どうやら、それは本音のようで。
スワロウテイルは、今度こそ深い溜め息をつく。
事件も解決しスカイハイとのわだかまりも消え、一つだけ不満があるとしたら、
「……ヒーロースーツ、別のカラーリングに変えてもらおう」
それは確かになった決意。
能力が似ている事は則ちマイナスではないと分かったが、ヒーロースーツまで似ているとは言われたくない。
迷い無く風を切って進むスカイハイ。追い付きたい訳でも並び立ちたい訳でもなく、ただその風の向こうへ行きたいのだ。
スカイハイを越えなければいけない気がしていたのは、きっと彼にヒーローとしての自分を重ねたから。
スカイハイが飛び去った夜空に、そっと微笑む。
「もっと、強くなりたいな……」
今の自分を越えられるくらいに。
風の向こうへ
翌日、今回の事件を受けて、ニュースでは市長と副市長の会見が行われていた。
政治に関してのテロは初めての事で、市民の間では急激に市政への――――市長への漠然とした不安感が高まっている。
テレビでの会見を眺めながらも、ステラの目には別の人物が映っていた。
会見場の片隅で、その場を見守る一人の政治家。
「……フレデリック………………」
決して忘れる事の無いその姿に、胸の奥、いつかの傷痕が騒ぎ出した。
fin.