suen~o1

□両片想い
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※年齢ねつ造、現パロ注意

「リナ、もう朝だよ。」
そう言ってデント兄は私の部屋のカーテンを開く。小さいころからの習慣だ。
「おはよう、デント兄。」
あくびを噛み殺しながら言う。今日も空が青いな、そう思っていると隣でデント兄は溜息をついた。
「もう高校生なんだから起こされなくても一人で起きなよ…それかわざわざ僕に頼まなくてもお母さんに頼めばいいじゃないか。」
デント兄がそう言うのには理由がある。
「いいじゃん。デント兄が取ってる授業は大体午前中の遅い時間なんだから。隣の家に来るくらいの時間はあるでしょ?」
「僕だって早い時間の講義は結構あるよ。それにそういう問題じゃないだろう?わざわざ幼なじみに起こしてもらわなくたっていいじゃないか。年頃の自覚を持ちなさい。」
そう、私とデント兄は兄妹でもなんでもない。ただの幼なじみだ。小さいころから一緒にいて、半ば兄妹みたいだけど実際は違う。それでもデント兄は「朝に起こして」という私のお願いを律儀に守ってくれている。
「今日もありがとう、デント兄。」
「どういたしまして。でもそろそろ本当に考えた方がいいよ。」
デント兄はそう言うと部屋を出て行った。多分今頃は階段を下りて私の母に捕まっているか、運よく家を出られているかのどちらかだ。
私がデント兄に起こしてもらうには理由がある。デント兄は大学生になってから忙しそうで会える機会が少なくなった。朝の登校時間も違うし、帰宅時間ももちろん違う。昔はいつでも一緒にいたのに。2年の溝は深いと思った。
正直、私はデント兄のことが好きだ。それもきっとデント兄と一緒にいるようになった頃から。それがいつから恋愛感情になったのかは分からないけど、とにかく好きだ。でもデント兄はきっと私のことを妹としか思っていない。さっきの注意も兄貴分としての接し方なのだと思う。私はそれが悔しかった。幼なじみから恋人への発展は多分、一番難しいんじゃないかとさえ思う。それに告白する勇気だってない。告白してぎくしゃくするくらいならこのままのほうが絶対いいと考えた結果がこの「朝に起こしてもらうこと」だった。
起こしてもらえば朝一番にデント兄の顔が見られる。デント兄と話ができる。だから私は寝顔を見られる羞恥と引き換えにこれを選んだ。
怖いからと言って代わりで満足しようとするなんて、私は臆病者だ。

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