めだかボックス☆ストーリー☆
□『好きっていうぜ 』
1ページ/9ページ
『善吉ちゃーん★』
僕は球磨川禊。
箱庭学園、生徒会副会長である。そしてさっき僕が言葉にした
男の子の名前は人吉善吉ちゃん。
善吉ちゃんは生徒会庶務で,いま沢山のプリントの山を一人で残って
片付けてたらしい。
生徒会室は僕と善吉ちゃんの二人しか居ないようだ。
生え際は黒く、クリーム色の綺麗な善吉ちゃんの髪をなでてみた。
「・・んだよ・・。」
『いやん!善吉ちゃん怖いよ!でもそんな善吉ちゃんが大好きだぜ!!』
なーんて薄っぺらで嘘っぽくて冗談半分で言ってみた。
・・・が予想外の反応が返ってきた。
「・・・・・・」
黙って俯いて赤面してる善吉ちゃん。
こんな善吉ちゃんをからかうのが大好きなんだ。
いやいやこれはほんとうだぜ?
薄っぺらでも、冗談半分でもない、本気全部だ。
『ねぇー善吉ちゃんー』
「だあー!お前はなしてえんだよ!!////」
『わあー!善吉ちゃん顔真っ赤だよ??』
知ってる。
君が恥ずかしいと大声で騒ぐことも、僕が君に対して恋愛感情を抱いてるのも知ってる。
でも、可愛い君が、格好いい君が、優しい君が、強くて弱い君が、
悪い__。僕に、混沌より這い寄る過負荷の僕に恋をさせてしまったんだから。
なーんて、恋愛小説の主人公みたいに僕は、華麗に、綺麗に、美しく恋なんてしない。
僕はただの子供のわがまま、大人の独占欲が強いらしいようで___
「うるせえっ!////」
『ふふふ、じゃあその仕事手伝ってあげるよ。』
本心を伝えればきっと気持ち悪がられてしまう。
だから格好良く見せようと、括弧をつけて話すんだ。
でも、この先きっと永遠に括弧を外す事はないと思う。
「君の事以外ではね?」
「ん・・・?なんか言ったか??」
『んーんなんでもないよ?さっさと仕事終わらせてゲーセンでも行こうぜ??』
「まだ遊ぶのかよ・・・。」
『うん!大好きな善吉ちゃんとなら何千年でも遊んでいられるよ!!』
「////〜〜もういいからさっさと仕事終わらせるぞ!!」
『はーい!』
僕はいつもより元気な声で返事をして、文字の海が漂っている数十枚のプリントに目を落とした。
でも何より君と話してることが一番幸せだったりするんだぜ?善吉ちゃん___。
『やっと終わったねー』
「でもお前三枚くらいしかやってねえよな・・?」
呆れたようにいう善吉ちゃん。
その横顔さえも愛おしく見つめてしまうのは惚れた弱みだろうか?
どこまで行ってもぼくは勝てないなあ・・・。
「じゃあこれ職員室に提出してこようぜ?」
『うん!そうだね』
職員室は、一回の昇降口のすぐ隣にある。
生徒会室は2階だから、すぐ隣の階段を降りればすぐだ。
『ねえ、善吉ちゃん』
「んー?なんだよ球磨川。」
そう善吉ちゃんは僕の事を球磨川って呼ぶんだ。
特別に、禊とか、禊ちゃんとか呼んでくれない。でも僕の中で君は特別だから
皆とは違って君を名前で呼ぶ。
でもいまはそんなこと関係ない。
『善吉ちゃんってめだかちゃんの事好きなの?』
『気持ち悪いって思うかもしれないけど、僕善吉ちゃんのこと好きなんだ。』
『今すぐ抱きしめて、ほかの誰にも触らせたくない』
「着いたぞ、ほらプリント貸せ、渡すから。」
なんて悲劇の主人公ぶる僕。
こんな事、言えるわけねえだろ? 偉そうに言うことじゃあないか。
僕ってどんな所でも負けっぱなしだなあ・・・。
好きだよ。
すきすき・・・・。
好きったら好きなんだ。
「絶対僕の虜にしてあげる」
この言葉なんて善吉に届くはずもなく_____。