めだかボックス☆ストーリー☆

□虚構
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暗い暗い真っ白な部屋。
色のついた家具もない簡素な部屋。
僕という存在さえも虚空(無かったことに)になってしまいそうだ。

ここは病院。

そう僕は3日前からずっと眠りっぱなし。
救急車で誰かが言ってたけどトラックに轢かれたんだって。

でもわからないの僕はその日誰と一緒に居たのか、本当にトラックに轢かれたのか。
どんな事故にあったのかさえわからない。

小説のようなお話。
でも記憶がないはずなのに小説みたいなんて言えるんだろう。
でもなんだか さみしい。

知ってる人も居なくて、周りには毎日知らない夫婦が来ている。
あれ?

眠ってて目も開けてないのになんでわかるんだろ。
でもなんか知らないけどわかる。

自分に自問自答を続けているうちに意識が途絶えた。
それからさらに3日がたった頃僕は目が覚めた。

近くにいたナースさんが血相を変えて何処かへ走っていった。

「禊さんが目を覚ましました!!」

みそぎ・・・僕の名前かな・・変な名前。
ふと左を見ると蜂蜜色の美味しそうな髪の色をした男の子が居た。まあ、美味しそうなんて比喩でしかないんだけど
体をゆっくり起こす。

「おっおい!まだ寝てろよ!!」

その男の子は僕の肩を触れてきた。
そして思わず僕はその手を反射的に払ってしまった。

「球磨川っ・・・・。」

彼は今にも泣きそうな顔で僕を見てきた。
僕と容姿がだいぶ違うから兄弟ではないだろう。

酸素マスクを取り、
[誰?]と言葉を紡ごうと口を開けると言葉が発せないのに気がついた。

「かはっ・・ふぅ・・ひゅっ・・・!!」

まるで過呼吸みたいにうまく息が吸えない。

「まだマスクしとけよ!!」

「ふうっ・・・ふー・・・・・・・。」

背中をさすってくれようとしたのか背中に触れてきた。
思わずびくっと体が震えた。
それから震えが止まらない。どうやら人間への恐怖心もあるようだ。

「っ・・・・・・!」

「俺だよ・・・人吉・・・善吉・・・っ!」

善吉?まったく身に覚えのない名前。

「分かんねえのか・・・・?」

「・・・・・・・。」

頷くしかない、だって本当にこの人のことがわからないからだ。
彼は今にも泣き出しそうな顔で、

「そうか・・・。」

それだけ言うと病室から出ていった。
なんで彼は僕のそばにいてくれたんだろう・・・・?

彼の心がひどく傷ついていたなんて僕は知るわけもなく____

人吉善吉。
箱庭学園1年1組、箱庭学園生徒会執行部。
彼は知っていた、全てを。

さきほど訪れた病室で傷ついている彼、球磨川禊のことを誰よりも。

病室を出てドアのむこう側で泣き崩れていた。

「くそっ・・・!!球磨川・・・!!」

不知火の里から帰ってきて、卒業式をあげてから2人で出かけようと言う話になった。
2人でレストランとかでも行くのかと思っていたが違うようだった。
来た場所は土手だった桜の木が既に満開でとても美しかった。

『善吉ちゃん、めだかちゃんと結婚するんだって?』

いつも通り薄っぺらな口調で言ってきた。

「あ?まあ・・・」

しかし俺は心底悩んでいた、めだかちゃんはもちろん大好きだ。
ずっと一緒に居て悪いところも何よりいいところも俺が一番知っている。

しかし、この目の前にいる混沌より這い寄る過負荷、球磨川禊。
初対面は気持ちの悪い奴だって思ってたが仲間を守るため、少数派に回り過負荷(誇り)を胸に
戦う姿に惹かれていたのだって事実だったんだ。

彼、俺の愛しい対象の球磨川禊は桜の木に向かって後ろ向きで歩いていった。
俺の方に顔を向けながら背後に桜の木を回して。

『めだかちゃんと、しあわせにね・・・。』

それだけ言うと土手の坂を転げ落ちた。
俺は唖然とした、しかし助けなければと坂を走って下った。

桜の木の下で頭から血を流し倒れていた球磨川を勢い良く起こしてやる。
なんだか戦闘続きだったため頭からの流血もあまり大したことではないと錯覚していた。

「なんだよ、だっせえなあ・・・大丈夫か?球磨川、」

それでさっきのことなんだけど、と続けようとしたが彼は、

『最後の嘘言わせてね。』

「・・は?・・・何いって・・・」

『「大嘘憑き」僕の記憶を無かったことにした。』

「球磨川ッ・・!!」

それから球磨川は病院に入院することになった。

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