めだかボックス ☆短編☆

□不完全燃焼
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今箱庭学園で卒業式が行われている。
僕はそんなものに参加する気もないから誰もいない生徒会室に居る。

静かでちょっと寒い生徒会室。
僕のいままでで一番落ち着く場所だし、一番好きな場所で一番嫌いな場所だ。

みんながいるときはあんなにも暖かい生徒会室だけど誰もいないなんてちょっと寂しい。
僕はもう3年生だから本当はいま体育館で卒業式に出席しなきゃいけない。

やだよ、僕だけ卒業なんて。

前まで善吉ちゃんが座っていた庶務席を見やり、僕はいま善吉ちゃんが座っているであろう
生徒会長の椅子に座った。

もうここに来ることもここに座っている彼とも喋ることもない。
そう思うと涙が自然に溢れてきた。

括弧よくない涙が、重力に従ってぱたぱたと善吉ちゃんの机を濡らしてく。

ガラッ

「球磨川先輩、こんなところにいたんですか。」

さっと涙を拭き取り善吉ちゃんを見る。

『あは、生徒会長さんがこんなところに来て平気なの??』

いつもどうりおちゃらけて言ってみた。

「カッお前に言われたくねーよ、不良生徒!」

『あは、そーだね じゃあ善吉ちゃんは僕を連れに来たの?』

「ん?まあそんなとこだ さっさと行くぞ?」

『・・・・うん・・・ねえ善吉ちゃんここで卒業したらみんなとはお別れかな?』

「・・・・?」

僕は泣き顔を見られてくないからくるりと窓から校門のまえに立ててある
看板の“卒業式”の文字を見た。

『この先絶対に会わなくて、絶対に交流が無くて、』

「球磨川・・・。」

『なんて、ね!』

窓をがらっと開け身を乗り出す。

「おい! あぶねえよ!!」

『あ、落ちようなんて思ってないよ、行こう善吉ちゃん!』

最後くらい括弧よく格好よく終わりたい。
僕は善吉ちゃんと一緒に卒業式が行われている体育館へ行った。

体育館は、すごく大きくてどっちかって言うとホールっていう方が相応しいんじゃないかってくらい。
ここは人生最後の晴れ舞台だ。

ドアを思い切り開け、すごい音が会場に轟いた。

カツカツカツと壇上に立ってマイクを持ち、大きく深呼吸をした。
 
『えー モブキャラのみなさんこんにちわ!』

『今日はこの負完全球磨川禊もみなさんと一緒に卒業です!』

『そのことで少しだけお話をさせてくださーい!』

あはっ と付け足して善吉ちゃんの方にウィンクを飛ばす。
善吉ちゃんは、はあっと頭をかきながらにこっと笑ってくれた。

『僕がいながら一ヶ月以上もった学校はここが初めてで、ここが僕の居場所なんだ。なんてかってに思ってました。』

『でもそれはただの思い込みでそう思ってるのは僕だけでした。』

『そして僕も普通に恋をして、学生って感じでした』

ちょっと声が震えてるけど構わず続けた。

『僕は_____。』

涙があふれるのを構わず、

「僕は、幸せだった・・・!」



卒業証書と花束を胸に校門に立ち尽くしていた。
そこに髪をばっさり切っためだかちゃんともがなが走ってきた。

僕を抱きしめ、ないてくれた。

素晴らしい演説であったって。

2人を見送ると背後から今度は高貴ちゃんが来た。

昔の話とか変に長ったらしい会話だけどちょっと嬉しかった。
最後は善吉ちゃんが来た。

「おう。球磨川まだ残ってたのか。」

『うん、最後に帰ろうと思ってさ。』

「そうかつーかびっくりしたぜお前好きな奴いたんだな!」

『・・・・うん・・・。 』

「誰が好きなんだ??」

なんて意地悪に聞いてくる善吉ちゃん。
好きな人っていうのはね______


「善吉ちゃんが好きなんだよ。僕。」

ちょっとの沈黙の後、

「な・・・なあああああ!?///////」

『あは、信じてもらえなそうだから!』

僕は善吉ちゃんにキスをした。

『めだかちゃんとお幸せに・・・・。』


それだけ言うと僕は走った。行くあてもないけど。

「あいつ・・・返事はいいのかよ・・ちくしょう!」
あいつ、“めだかちゃんとお幸せに”のとき括弧付いてるってことは・・・・。

「本音じゃ・・・ねえんだろ!?」

善吉ちゃんが最後に泣いていたのに僕は気づかないまま生きていくことになった。

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