ぷよぷよss
□過去ノ現在未来不知
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アミティ「__!」
少女は絶句した。私たちの悲劇をきいたから?
少女は絶句した。私たちを喜劇と笑ったから?
少女は涙した___。
魔物「・・・・。」
アミティ「こんなのってないよ!ひっく・・ぐす・・。」
魔物「別に貴様に理解してもらおうなどとは思ってはおらん。」
アミティ「でも・・!!」
少女の涙には汚れがなかった。
なんの汚らわしい感情の入らない無垢な涙。
魔物「貴様に聞きたいことがあったのだ、小娘よ。」
アミティ「・・なに・・?」
魔物「つい先日私はアルカに会った。」
アミティ「え!?」
魔物「アルカは、貴様のなかに宿っていたようだ。」
アミティ「え?私の中に・・・?」
魔物「いや、宿っていたと言うよりも、お前がアルカの生まれ変わり”と考えるほうが妥当だろう。」
アミティ「生まれ・・代わり・・・。」
魔物「ああ、あの時、友の命の危険と察知した貴様は力を求めた、そしてアルカが目覚めた。」
アミティ「・・!!」
魔物「では、いまここで友を奪われる時の恐怖を思い出すがいい__そうすれば・・・。」
アミティ「うん・・!」
(この魔物さんが言うんだから嘘っぱちって事はないよね、第一こんな悲しい話されたら・・!)
これでいい___。
これでアルカが元に戻るなら。そのためならこのような小娘の命などくれてやろう。
魔物「やってみろ、小娘。」
アミティ「うん・・!あと・・小娘じゃあなくて、」
私のほうに振り向くと優しく微笑んだ。
アミティ「アミティ__だよ・・?」
少女の美しい顔___。
思わずアルカを重ねてしまった、ありえないあの女神のアルカをこのような小娘と見まごうなんて___。
本当にこの少女は___?
アミティ「___!」
瞳を閉じ、集中力を高めているようだ。暫くすると胸部のあたりから眩い光が放たれる。
そこには何千年も恋焦がれた少女が立っていた。
魔物「アルカ・・・?」
震えた声で私は話しかけた。長髪の金髪。
その美しい髪をふわっとたなびかせながら少女は振り返った。
長いまつげにパッチリとした大きい瞳。アルカが着ていた真っ白なワンピース。
ワンピースのスカートの裾についているユイユの花が昔と変わらずよく映える。
アルカ「魔物__さん・・・?」
魔物「あるっ・・!・・ぐすっ・・!!」
アルカ「あらあら・・・昔よりずっと泣き虫さんね・・・?」
そっと優しく頬に手を添えてくれる。そしてその手を上からそっと包み込む。
温かい___
アルカの匂いだ・・・・。
やっと会えたというのに泣いてしまった。はっと気づくと、
魔物「ぐすっ・・・別に泣いてなどおらん!!;」
アルカ「くすくす・・そうね・・あなたも容姿が随分変わっちゃったわね・・・。」
そうだ、今私はクルークと言う少年の体でアルカに会っていたのだ。
私の本来の体はシグなのだから容姿は大分異なるようで___
アルカ「でも、すぐにあなただって分ったわ・・!」
魔物「・・・アルカ・・!!」
また泣いてしまう__。
何千年も会えなかったのだ。そしてこんな事をいわれたら泣き崩れるのも当たり前で___。
それから私たちは昔のこと、封印されていた事や本の中から見たものなど沢山の話をした。
離れ離れになってしまった時間を埋めるように___。
散々話たあとに「もうもどらないと」といってアルカはアミティの家に入っていった。
私もクルークに体を返さなければ。
体をベッドに寝かせ、少年に目をやる。
魔物『・・・礼をいう・・・。』
それだけいうと本の中に戻った。
クルーク「・・・そういうのはちゃんと人の目を見て言うものだ・・!」
この声は魔物に届くはずもなく____。
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