ウェルディアナの花の下

□追憶
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その日、タバン皇国に小さな命が誕生した。
第四皇子、ウェルディアナ・タバン・コオリア。

しかし彼は男であると同時に女でもあった。

「落ち着いてくださいませ、皇后様っ!お身体に障りますれば!!」
「違う!違うっ!こ奴は妾の子などではっ!化け物!!」

望まれて生まれてきた筈だった。
父であるタバン皇帝と、母であるタバン皇后。
2人は仲睦まじく、温厚な両親によって健やかに育つ筈であったのに。

「サラ、落ち着いて。ね?」

そっと皇后に寄り添いタバン皇帝はゆっくりと妻の頭を撫でながら、哀しい運命を辿るであろう、ウェルディアナの将来を憂いていた。

「ディー、お前を手放す父をお許し。どうか、幸せになっておくれ。私たちの可愛いウェルディアナ。」
「陛下、そろそろお時間です。」

この国の為に、ウェルディアナの為に父であり、皇帝である彼はウェルディアナを手放すことを選んだ。
信用のおける古くからの朋友に、息子を内密に朋友の子として預けたのである。

「ディー、そなたに神々の祝福があらんことを。頼んだぞ、セルシオ。」
「御意のままに。」

第四皇子、ウェルディアナ・タバン・コオリア崩御。その知らせは祝福ムードであったタバン国民の涙を誘った。








内密にタバン皇国の侍従長であったセルシオ・シュナ・ガウディアの元で、ウェルディアナはウェルディ・シュナ・ガウディアとして育てられることとなる。
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