空が奏でる奇跡
□第一章
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「うわぁ、風紀幹部ほぼ全員集合じゃん。」
仕事が面倒くさくなって、
つか、あそこにいるのが五月蝿すぎて、
木の上で休憩していたら、嫌いな奴が視界に入った。
「?あの子どっかで……。」
雪村刹那の横に立つ黒髪に黒縁眼鏡の少年。
華奢で、抱き締めたら折れてしまいそうな。
そして、決して口は開かず携帯越しに会話を交わす風景を、僕は見たことがある。
「あ、風と空(くう)だ……。」
思いついた途端、空と目が合ったから、
手を振ると会釈を返される。
うん、イイコだなぁ〜。
「可愛いなぁー、相変わらず。」
風と空は街でも有名な二人だ。
その中でも空は、その可憐さも相待って加虐心さえも湧き上がる。
…………だからこそ、声を失ってしまったんだろうけど。
「ふふ、楽しくなりそうだなぁ〜。
ねぇ、空の恩恵を受けし呪師(まじないし)の生き残り。僕を楽しませてね?
偽りのお姫様に負けないで。」
そう言えばバ会長が、身の程知らずにも空を探してるんだっけ。
バカだからなぁ、きっとあの子が空だなんて気がつかないんだろうな。
バ会長だし。
「空ちゃん。今は風紀に渡しておくけど、いつか僕を好きになってくれるかなぁ〜?
絶対にあいつには見つかっちゃ駄目だよ。」
壊れてしまったお人形なんて哀しすぎるから。
「僕としては会長にも見つかって欲しくないけどね。」
ずっと退屈だった。大嫌いな弟と一緒の学園に押し込められて、
でも彼なら、退屈な日常を変えてくれるだろう。
「うん、あわよくば僕のところに落ちておいで、空色ひなたちゃん。
愛してあげるから、必ず。」
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