空が奏でる奇跡

□第一章
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僕は風紀室に案内されていた。

「ここが風紀の会議室で、
奥が俺たち幹部の執務室な。
その左手が仮眠室で、一応簡易のシャワールームもある。
で右手が、取調べ室兼お説教部屋な。」
「とゆーことは、彼も幹部にしはるつもりですの?」

彼は刹那先輩並みに美人だと思う。
けど疾風や颯太さんみたいに、スキンシップが激しい気がするのは気のせいだろうか。

「あぁ、自己紹介が遅れましたなぁ。
あては風紀委員幹部の大和縁言います。よろしゅうに。」
「縁先輩、あんまひなたに触んなって。」

困った、なんかいつもの家と同じだ。
いつもなら、雅都さんが止めてくれるんだけど、
家じゃないし、雅都さんがいるわけじゃない。

「ひなたが困ってる。」
「それよりも疾風。マジでこいつ風紀に入れんの?
しかも幹部って大丈夫か?」

刹那先輩のおかげでなんとか二人から開放される。
助かったけど、不機嫌そうな彼に、本当に僕は疾風の側に居てもいいんだろうか。

「大丈夫だよ、刃。
ウチの決まりでは幹部は五人以内。
で、刃?幹部の決定方法は?」
「風紀委員幹部の推薦があり、
なおかつ風紀委員全員の前で、
幹部との一方取り及び、
その後幹部全員と風紀委員三分の一の了承を得ること。」

不安になってきた。
本当に僕はみんなに認めて貰えるんだろうか。
思ってたより難しそうだし。

「今日の放課後、風紀委員全員でひなたの幹部承認式をやる。」
「楽しみやねぇ、ひなたちゃん。」

思ってとより早いなぁ。
あんまり外で暴れる機会もなかったし、
腕が鈍ってなければいいけど。

「ひなた、授業が終わったら迎えに行くから、教室で待ってろ。」
『うん、わかった。』

頭を撫でながら、疾風が優しく微笑んでくれた。

「疾風、そろそろ時間。」
「おう。じゃあひなた、次は職員室に案内するな。」

こくりと頷き、疾風と手を繋ぎながら歩き出す。

ここから僕の新しい生活が始まる。
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