小ネタ・単独SS纏め

□花魁マリ×フェン
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・シュウ@フェンリルは○○のよ(略)



ポロン ポン…
闇の中へと静かに流れ行く琴の音
心を解きほぐす音色に癒される…しかし
フゥ と聞こえた溜息は、微かな酒の匂いを漂わせ
やがて薄れ消えゆく

ここに来る事をなにより望んでいた当人の反応に
トールは訝しげにその顔を覗き込む

「何が不満なんだ?ロキ」

以前起こした騒ぎで遊郭の立ち入り禁止を言い渡され
それでも新たに楽しめる場を見つけたと、喜んでいたにも関わらず、だ

「煙草」

さっさと出せと態度が訴えている

「生憎今日は持ち合わせていない
つーか、お前は吸わないだろ?」

妓楼から出された物も断っていた癖に
なぜ今更そんな物を求めるのか

「じゃぁ ア…」「尚更有る訳無いだろ」

相手の突拍子も無い要求に、つい声を荒げてしまう
しかし、それでもロキは沈んだまま
冗談だよと、おどけて見せる事も無い

「…お前、本当にどうしたんだ?」

盛大な溜息
何時もは大食漢であるにも関わらず
今日のロキは、ほぼ酒しか飲んでいなかった

「いいよな〜トールは
悩みなんか無いんだろ?」
「これでもかなり色々悩んでるのだが?」

主にロキの問題行動によって

ポポロン キン

琴の音色は、先ほどから一切の乱れも無く音を紡いでゆく

「俺様の息子達に関してなんだが…な」
「自慢の息子達 なんだろ?」

ロキは、傍から見ればかなり無茶苦茶ではある(それに乗る自分も同類だ)が
案外子煩悩な男である
もっとも、それが子に伝わっているのかと言うと甚だ疑問だが

「女に興味持て…って叫びてぇ…」

ああ…そういえばそうだった
ロキには本妻から愛人に至るまでかなり多くの息子達が居る
だが、適齢期に入ったにも関わらず、未だに結婚している者が一人も居ない

「なら俺達みたいに此処へ通わせればいいだけの話だろ?」
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