小ネタ・単独SS纏め

□水面のように
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シュウ@夫婦が揃いました



女の体になれるようになってからは
以前より屋敷に引き篭もる頻度が多くなった…にも関わらず
何故か新たに親しい仲となれた相手は増えている

実は女であったナサギ
同じく女であった懲罰天使のドゥマ
それに男勝りな隊のリーダー・ラハティエル
…何と言うか 友達と呼んでいいんだろうな
少しだけ気恥ずかしいが


曇りで天の光が閉ざされ、にも関わらず
僅かな光を積もる雪が反射し
不自然なぐらい薄暗い世界が照らし出される
…外は氷点下の世界
だが、暖房設備が廊下まで完備された屋敷の中は
何時もの自分自身の格好(肩から胸元、太腿を惜しげも無く晒した姿)であっても
問題無く過ごせている

―コン  コン―

玄関からノックの音が聞こえ
客人を迎えるため、フェンリルは扉に手を掛け、鍵を外す

「こんにちは、フェン」「よぉ」

訪れたのは、ナサギとドゥマ

―――――――――――
自分の肩に寄り掛かって眠るケルベロス
四六時中番犬として門を守り続けているのだ、こういう休息があってもいいだろう
俺の口に含んでいるキャンディーの棒が揺れ動く
ケルベロスは煙草の煙を嫌がるから…それに、女の間は煙草を殆ど吸わせてもらえない
吸わない事にも、慣れつつある

「あ、フェン」

二人の元に訪れたのは、追い払うような相手では無く

「どうした?ナサギ」

男の姿でも女の姿でも、共通して仲の良い相手
(まだケルベロスには女の姿は明かしていない)

「うん、ちょっとお願いがあって」

手に抱えた木箱をフェンへと近づけ

「これ?開けられないかな」

困ったように訊ねる
見た目は何の変哲も無さそうな普通に開け閉め出来そうな箱だが…

「蓋が開かないんだ ほらっ」

確かにナサギが力を入れているにも関わらず
まるで接着剤で閉ざされているかの如く、蓋はうんともすんとも言わない

「ちょっと貸して見ろ」

そのまま力を込め、蓋を引く

「パン」

何か割れる様な音と共に、あっけなく蓋が持ち上がり
危うく中のモノが飛び出しかける
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