小ネタ・単独SS其の2

□ある時の出来事
1ページ/4ページ

シュウ@フェンリルはマリクの嫁



・保護者は心配性


―狼とは生涯一夫一妻制であり、離婚という概念は無く
また、どちらかが死別しない限り新たなパートナーを迎え入れる事は無い
他の群れの子狼がはぐれたり親が死んだ場合に対しては自らの群れに受け入れ、育ててゆくと言う
非常に愛情深い生き物の一種である

実際に狼の愛情を証明するエピソードを述べよう
とあるハンターがオオカミの群れへと威嚇を行い
一匹、また一匹と狼を追い払っていった
そして最後に群れが中心で守っていた狼が残る
牙も擦り切れ、目も見えなくなった年寄
荷物であろう存在を群れ全体で守っていたのだ
それほどの愛に満ちた存在がオオカミなのである

一般的に童話において狼は悪の象徴とされるが、それらは都合により捻じ曲げられた…―



音を立て本が閉じられる
この本に書かれている知識は間違いではないのか?
そう思えのたから


実際に狼と聞き、皆はどのような事を思い浮かべるだろうか?

「己(わたくし)、苦手なの。
あいつの事は口にしないで!!  …あ、いえ…その  お、 お分かり頂けたかしら?」

何時も恭しいアマテラスの口調が乱れ

「関わりが殆ど無いから何とも言えない、だけど
遠くで見てると『乱暴な子』って印象かな?」

あまり相手を悪く言わないリアンノンからも、この言葉
最初の数文字でオーディンは逃げ出し
明朗快活なティールですら言葉を濁す
他、大勢の天使からも好意的な意見とは程遠い答え

「やはり…」

深呼吸にも似た溜息
まさかラハティエル関連以外で零す事になろうとは
いや、関連してしまったからこそ…か

「何だショフ、また悩み事か?
んなに悩んでると剥げちまうぜ?」

その様をたまたま見つけたドゥマが、笑いながらからかう
だが、ショフティエルは怒る素振りも見せず軽く流す
その心は真面目に怒った所で、ドゥマがまともに言う事を聞く訳がない事を
よく知っているから
聞き込みを続けていたテラスも、時間の経過と共に天使の数は減り
疲れた足を癒す為、密集の少なく丸ごと空いているテーブルへと足を運ぶ

「ちょっとは何かリアクション返せよ…あーあ、ツマラネェな
…いっそまたフェンのとこにでも押しかけるか?」

居たな、ここに。ラハ以外にあの狼
フェンリル寄りの奴が

「お!!おーい」

そのドゥマが急に呼びかけた相手は、俺達とも馴染み深いナサギエル
地獄の案内役の彼…もとい彼女の情報は懲罰隊だけでなく
天界上層部からも頼りにされているほどのもの

「あ、ドゥマ。それにショフティエルさんも
こんにちは」

屈託のない笑顔
この辺りもラハに通じていて、個人的に好感が持てる
ドゥマは振っていた腕を組み、ナサギに笑いかけ

「なあ、フェンの所にいかねぇか」

そう持ちかける

「あ、うん。そのつもり
ラハも先に行ってるし」

ラハティエル…午後から見かけなくなったと思ってたら…
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ