小ネタ・単独SS其の2

□零までの示し方
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机に積まれていた本を押しのけ、アングルボダとの作業を進める
久々に行われるロキ家のパーティ
それの為に、今回ロキはいつもより長く、自宅へと残っていた

今回招待状を出した面子は酒飲みが多い
メイン系の料理は前回より減らし、代わりに一口で手軽に食べられるツマミを増やして
飾り付けは…

そんなやりとりを続け、ようやく纏まり
椅子の背もたれを使いながら凝り固まった筋肉を解す

「お茶、淹れてくるわね」

アングルボダが席を立ち出て行った先でフェンリルが自室から出て来る姿も見え
二人は階段を降りてゆく

一通りのストレッチを終え、だらしない恰好で待つこと数分
アングルボダは茶、フェンリルが菓子を手に部屋へと戻る

―手伝ってもらっちゃった―

言葉が無くとも、様子でアングルボダの内情が伝わり
抗いようの無い力で口元が緩む
どうせなんだから、親子の茶会でも始めよう

まるで宝石の様なパート・ド・フリュイ(ゼリーの一種)
丁寧に作られている分、ゆっくり一噛み
味を心行くまで口内へ染み込ませ堪能し悦に浸る
すでに食べ終えたフェンリルは
普段あまり踏み入る事の無い両親の部屋に興味津々なのか部屋を一瞥してゆく

そして耳に入る微かな声

「どうした?」

行動はすぐ目の前で行われる
詰まれていた書類から一枚をフェンリルは引き抜く

一瞬だが見えた書類の内容を脳内で照合し

「ルーシスの資料か?」

見入っているフェンリルへ言葉をかける

「…前に見たとの違う」

フェンリルが美術品以外の事に興味を持つとは
少し驚きつつ

「そりゃ、修正されてるからな」

さり気無く、ロキが教える
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