小ネタ・単独SS其の2

□ある時の出来事
2ページ/4ページ

「お、そうか
じゃあ、菓子作りでも手伝ってんのかな?」
「うん、今日はラハのリクエストでチーズスフレだって
俺はこの資料をしまわないといけなかったから…
けど、ドゥマを捕まえる事が出来たから、かえって良かったのかも」
「ああ、ナサギに見つけて貰えなかったら危なかった(おやつ的な意味で)」

ナサギもフェンリルに好感を持つ側だったのか
信頼している相手に裏切られたような気分になり、またもや気が落ち込む
(実際にそうなのだが)

「ナサギエル、ドゥマ
ラハティエルもだが…あまりフェンリルとは付き合わない方がいい」

あんな狼、悪影響しかない
できれば離れて欲しいのだが…

「え?何で」

間髪入れずにナサギは疑問系で返す

「フェンリルの問題っぷりは知っているだろう」

そう告げると、ナサギエルは眉間に皺を寄せ
不服そうに言葉を紡ぐ

「…それは周りが勝手に言ってるだけだよ
ホントはそんな事無いのに」

やや口を尖らせ、抗議するナサギ
だが、それに対するようにドゥマは低い声と共に一瞬頭に手を当てる

「確かにそうだったよな
思い返してみれば、俺もフェンとガチでぶち当たっての1回や2回じゃねぇし」
「あ…あれ?そんな事あったの?」

俺も初耳であり、驚きを隠せずにいる

「ああ。けどそうじゃなくなったのは…
俺がアークデーモン複数にやられて、両手足骨折に大量出血
芋虫状態で天界に戻って来た時だな」

ドゥマの言葉にナサギと共に一瞬身が跳ねた
様々な思いが心を覆い尽くす

「よ…よくそんな状態で無事だったね」
「ああ、医者まで運んでくれたのがフェンだったんだ
あいつ、すげー応急処置が上手くて、そんで医者の腕もいいからソッコーで助かったんだぜ
もう床オナ状態は絶対に勘弁な」

カラカラと事態の重さに関わらず、ドゥマの笑みは軽い
何かサラリと天使としてアウトな発言が聞こえた気がしたが
ここも流すのが正解だろう

「あ…けどそういえば」

何かを思い出したのか、ナサギは言葉を続ける

「俺、一番最初にフェンと関わりを持ったのって
体調不良で医務室を訪ねた時…だったっけか
その時にフェンがフォローしてくれて…次の日も心配して弟君に聞いてまで訪ねてきてくれて…
持ってきてくれた食事が美味しかった」

ほわ〜んとナサギの表情が緩みだす

「ああ、思い返してみりゃ、ラハ隊長の時もだな
熱射病で倒れたの、かなり正確な対応してくれてたからな
医者に褒められるぐらいだったんだぜ」

フェンリルの意外な一面が次々と飛び出してくる

「そう、あと子供に優しいよ
…内面が子供なら大人に対してもだけど」

主にキッズ天使に
ケルベロスとかケルベロスとか…ケルベロス
そうナサギは呟き続けていた、心の中で

「その分、健全者や大人には厳しいなか?フェン
自分以外の家族の悪口を言った相手には容赦ないし」

一旦ケルベロスから離れる為
心を空にして口から出したのは、そんな事実であった

「ひっそり弱いもの苛めとかしてる奴には
『気付きませんでした』って感じで攻撃に巻き込んだりしてるし
ついでに謝らねぇし、解っててやってんの確実だよな
まあ、前は範囲特に気にして無かったから他も巻き込まれる奴多かったが…
此処最近は的確に狙えるようになってて思わず感心したぜ」

…そんな事も

「ま、折角友達になれたんだ。そんな関係を壊すのは勿体ないだろ?
ってな訳で、もう少し大目にみてくれ」

ヒラヒラと腕を振りながらナサギを促しドゥマは去ってゆく

(そういえばウォフさんもショフさんと同じ事言ってたよな
フェン…ちゃんとした付き合いなら大丈夫なのに)

少しだけ納得が出来ないが、ナサギも一礼してその場から去る

…ショフがフェンをやや目の敵にしているのは
ラハがフェンに懐いている現実
…つまり嫉妬から、本心を逸らしている為…であるのだが
それに気づくのは何時の事になるかは定かでは無い
彼と他(ドゥマ以外)の懲罰隊に関してもだが…
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ