夜に舞う蝶
□9.夜闇からの解放
1ページ/6ページ
・主人公視点
あんなことがあったんだから。
周囲が私を見る眼は、当然今まで通りにはいかない。
疑惑の眼、非難の眼、興味に光る眼……。
そんなものは、どうってことないんだ。
だけど、
大切な仲間が傷つくのだけは、耐えられない。
……、私は、氷帝から去る時、手放せるものは可能な限り手放した。
でも……、テニスと、……この胸に秘めた思いだけは、どうしても手放すことができなかった。
だから私は、夜のコートで、一人ラケットを振ることしかできない。
……苦しい。
でも、誰にも救いを求めることはできない。
これは私の戦いだ。
独りで、キリをつけなければならない。
――ずっと、そう思ってきたのに。
……、……ありがとう、皆……。
精市くん。
→