宝物
□フリーss:ニコヤさん
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ドキンちゃんはいつも一生懸命で可愛い。
食様、食様って、追いかけてる。
たぶん、分かってるんだ。
食が、辛をどうしようもないくらい好きだって事は、ちゃんと。
それでも、諦めないって凄いと思う。
まぁ人のことは言えないけど…。
「ドキンちゃんは、頑張ってる」
「…褒めてるの?」
チラッと睨んで、すぐに笑い出した。
消え入るようにありがとう、と聞こえてきたと思ったら、ドキンちゃんはもう、うつ
らうつらと眠りかかっていた。
「風邪ひくよ」
「…うん」
まだ少しココアの残ったマグカップを持ったまま、ドキンちゃんは眠ってしまった。
そっと、前髪に触れてみる。
室温に比べてひんやりしていた。
何度、泣くのだろう。
食のためにドキンちゃんが泣く度、怒りとか悲しみとか、そんなんじゃなくて、ただ
胸が締め付けられた。
俺はいつまで支えられるだろう。
人のことは言えない。
報われないだろうことは分かってる。ちゃんと。
それでも、やっぱり愛したい。
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