擬アン
□雪
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おまけ
「辛、あの鍋よく食べましたね。」
餡と菌が帰って、二人だけのリビングに足を炬燵につっこんだまま後ろに寝転んだ。向かい側から、食の声、それと同時に足が触れる。
「お前らが食わせたんだろうが。」
腹がいっぱいすぎて、怒鳴れない。
時計を見ると、さっきまでのことが昨日になっていた。いつまでもこのまま寝転んでいたい。
なのに食は立ち上がった。カチャカチャ皿を重ねて後片付けを始めてしまった。明日にしたらいいのに。
重い土鍋もコンロごと抱えて、流しに立つ食の背中。身長高いくせに、すらっとしてて腹が立つ。洗い物してるだけで絵になるってなんだよ。
食ばかりに任せるわけにはいかないから、とりあえず食の隣に立ってみた。
「いいですよ、すぐ終わりますから。」
「それは立つ前に言ってくれよ。」
仕方ないから、ふきんで机を拭くことにした。そういえば。
今日の餡は楽しそうだった。餡があんな悪ふざけするのは珍しい。よっぽど機嫌が良かったのか、菌に気を使ったのか。そういえば、餡が菌を連れてきた時びっくりした。あいつら、そんな仲良かったなんて知らなかった。
拭き終わってまた、食の隣に並んでみる。食は洗い物するとき、ピンクのゴム手袋する。少しでも手が荒れるのが嫌だからとかなんとか。
「餡、優しくなりましたよね。」
食も同じこと考えてたみたいだ。
「どこがだよ、あいつが饅頭入れた鍋、結局俺が全部食ったんだぞ。」
「そうでしたね、じゃあ、餡は冗談を言えるようになったんですね。」
「菌のためにな。」
「そうですかね。」
「そうだろ。」
食が泡で擦って、俺が水で流す。その繰り返し。
「ところで辛、これ終わったら一緒にお風呂入りましょうか。」
勢いよく食を見上げると満面の笑み。
「お前も冗談言ってるんだよな。」
「辛のためにね。」
●おしまい●
木菟さん、だいぶ遅くなってすいませんでした! でも、本当にありがとうございました。とても嬉しかったです。今も嬉しいです(*^ω^*) テーマ「雪」で食辛だったのに餡菌になってしまって、こんなんになってしまいましたが、感謝の念は変わりません!ありがとうございました(*^▽^*)