□先生
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今日は久しぶりにヒロさんとデート。嬉しくて、楽しみで、待ち合わせの駅に急いだ。
いつもヒロさんは先にいるから。



駅についてヒロさんを探す。

あっ
ヒロさん。

と、誰だ?

「ヒロさん、」

こちらに気がついたヒロさんは軽く手を上げた。ヒロさんは話していた男の人を紹介してくれた。ヒロさんの大学の学生さんらしい。

「ちゃんと試験勉強しろよ。」

とヒロさんは彼の背中をポンと押した。そして彼は駅の構内へ。


学生一人一人に嫉妬していたら俺は一体何人に嫉妬しなければならないんだろう。


「ヒロさんはやっぱり先生なんですね。」

俺は先生じゃ嫌だったから
「ヒロさん」
て呼んでいたけど。それでもやっぱりヒロさんは俺の先生でもあり。


ちょっと意地悪な感じになってしまった。


「・・・お前もじゃねえか。」

「・・・え」


色素の薄い髪からのぞく耳。
少し赤い。

くすりとゆるんだ俺の頬。



同じ事を考えていたなら、
それはとても嬉しい。




ヒロさんが先輩を殴った日。
その日は一日中幸せで、それからも結構毎日幸せだった。

「ヒロさんが入院したら俺が絶対に看てあげます。」

そしたらヒロさんは俺を先生なんて呼ぶんだろうか。

「入院してほしいって言ってんのか?」

「えぇっ?!違いますよ!」

ぽこん。
殴られてしまった。

「ヒロさん、」

「ん?」

「長生きして下さいね。」

「俺を老人扱いすんなっ!!」

そんなつもりじゃないんだけど。言い方がまずかったらしい。



嫉妬はみっともない。
とよく言うけれど、ヒロさんが嫉妬すると可愛くて仕方がない。それはヒロさんだからであって、俺が嫉妬したらやっぱりダメなんだろうな。




●おわり●

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